オラクルが新検索エンジン出荷、「グーグルは競合ではない」

2006/4/13

 日本オラクルは4月12日、企業向けの情報検索エンジン「Oracle Secure Enterprise Search 10g」(Oracle SES)の出荷を開始した。企業向けの検索エンジンはグーグルが同日に新製品を発表するなど市場が過熱しつつある。オラクルは、Oracle SESの投入で「すべての情報管理のハブになる」ことを目指すとしている。

日本オラクルの代表取締役社長 新宅正明氏。バックは福島産の桜。「オラクルも桜が咲きつつある。まだつぼみかもしれないが……」

 日本オラクルの代表取締役社長 新宅正明氏によると、Oracle SESは発表後、顧客やパートナーから「50件を超えるプロジェクトの検討があった」という。すでに検証やテスト段階に入っている顧客も5件ほどあり、「感度の高い反応があった」としている。

 インターネット上の情報を対象とするGoogleなどの検索サイトと異なり、Oracle SESは企業内の情報がメインの対象。Googleと同様のページランク方式でWebサイトの検索もできるが、特徴は社内のオフィスドキュメントや業務アプリケーションなどの非構造化データを検索できることだ。標準で検索できるのは企業のポータル内の情報やファイルサーバ、IMAP4メールサーバ、Webサイト、Oracle Database。

 日本オラクルは、近くオラクルのERP「Oracle E-Business Suite」の検索を可能にするアダプタを公開する予定。他社のデータベースやERPを検索対象にするためのアダプタも同社やパートナーのISVが開発している。ISV向けには新たな支援プログラムも立ち上げた。すでに「Microsoft SQL Server」や「Lotus Notes/Domino」を検索対象にするアダプタを、ISVが開発しているという。

日本オラクルの執行役員 システム事業推進本部長 三澤智光氏

 Oracle SESの検索エンジンをアプリケーションに組み込むためのAPIも公開している。日本オラクルの執行役員 システム事業推進本部長 三澤智光氏は「コードを書かずに、クローラ開発だけでナレッジ・シェアが可能になる」と語った。「Oracle SESはWeb 2.0時代の企業向け情報検索ツールだ」(同氏)

 他社の企業向け検索エンジンとの違いとして、オラクルが打ち出しているのはセキュリティ対応。Oracle SESはディレクトリ製品の「Oracle Internet Directory」と連携し、ユーザーの役職や所属グループに応じて検索結果に表示するインデックスを調整できる。一般社員は重要な財務データを検索結果に表示することはできないが、役員なら可能、などユーザーのロールに応じた運用ができる。Oracle SESに対応するディレクトリは現状はOracle Internet Directoryだけだが、三澤氏はほかのディレクト製品にも将来的に対応する考えを示唆した。

 オラクルはセキュリティ機能をアピールし、Oracle SESを情報検索の業務アプリケーションとして利用することを提案する。新宅氏は「Oracle SESを検索エンジンとして小さくとらえるのではなく、業務プロセスを支えるポイントになると確信している」と述べた。三澤氏は「コードを1行も書かずに検索の業務アプリケーションを作ることができる」と語り、運用や開発の容易性を強調した。

 検索エンジンでは、グーグルの企業向け検索アプライアンスがすでに登場している。三澤氏は「グーグルのライバルに挙げられるのは光栄だが、オラクルはグーグルがコンペとは思っていない。グーグルは広告収入、オラクルはライセンスとサービスから収入を得るなど、そもそもビジネスモデルが異なる」語り、「直接の競合にはならない」との考えを示した。

 ただ、エンタープライズに参入して日が浅いグーグルや、ほかの企業向け検索製品のベンダを意識してか、三澤氏は「われわれの強みは販売パートナー」とも語った。オラクルは同日、Oracle SESの販売パートナー25社を発表した。三澤氏は「パートナーには単にOracle SESの売り上げを期待しているわけではない。オラクルのOracle Collaboration Suiteやポータル、アイデンティティ管理製品などと組み合わせたソリューション販売の売り上げを期待している」と語った。

 Oracle SES(Linux x86版)はProcessorライセンスで1CPUが393万7500円。Named User Plusライセンスは、1ユーザー当たり7875円。1CPUで100万ドキュメント程度まで対応可能という。「大企業でも2CPUあればほとんど対応できる」(三澤氏)。オラクルは2006年6月からの新年度にOracle SESの売り上げだけで10億円を見込む。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
日本オラクルの発表資料

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