MSが「Office Groove」を初公開、PtoP活用しファイル共有

2006/4/21

 マイクロソフトは4月20日、年末にも出荷する予定の次期オフィス製品「the 2007 Microsoft Office System」のパートナー向け説明会を開催し、オフィス製品に新たに追加するPtoPコラボレーション製品「Microsoft Office Groove 2007」のデモンストレーションを国内で初めて公開した。製品と合わせて関連サービスも紹介し、次期オフィス製品が実現する「New World of Work」を訴えた。

 オフィスのほかの製品のデモンストレーションも実施したが、2月の開発者向けイベント「Microsoft Developers Conference 2006」とほぼ同じ内容だった。

 Microsoft Office Groove 2007は、現最高技術責任者のレイ・オジー(Ray Ozzie)氏がGroove Networksで開発していたコラボレーションソフトウェア「Groove Virtual Office」のアップデート版。米マイクロソフトは2005年3月にGroove Networksを買収していた。

米マイクロソフトのビジネス部門担当 プレジデント ジェフ・レイクス氏

 Office GrooveはPtoPの仕組みを活用し、企業の社内外のメンバーでファイル共有を可能にする。中継するサーバは用いず、クライアント同士が直接接続する。Office Grooveのネットワーク上にワークスペースを構築し、複数のメンバーがファイルの共有や作成、タスクや会議の管理などが可能。メンバーが社外にいてもファイアウォールを越えてファイル共有ができる。メンバーがオフラインになっていても、次回接続時に更新情報が配布され、常に最新に保たれるなど、「企業間コラボレーションを低コストで実現する」(マイクロソフト)のが最大の特徴だ。

 マイクロソフトはOffice Grooveのユーザー用にホスティングの「パブリックリレーサービス」も提供する。このサービスを使うことで、「インターネットのどこにいても相手の電子メールアドレスを指定するだけで、ファイルを共有できる」(マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 Officeビジネスコミュニケーショングループ マネージャ 中野雅由氏)という。「Office SharePoint Server 2007」との連携も可能。企業向けに管理機能やデータブリッジサービスなどを追加した有償サービス「Office Groove Enterprise Services」も提供する。また、企業向けの管理サーバとして「Office Groove Server 2007」も用意。Active Directoryとの連携やクライアントの管理などが可能になる。

 米マイクロソフトのビジネス部門担当 プレジデント ジェフ・レイクス(Jeff Raikes)氏は「ブリティッシュテレコムでは約1万人が在宅勤務を行っている。米国ではここ6〜7年で自宅で仕事を行う人が2倍に増えた。全世界では2800万人がリモートで仕事している」と説明。「このような在宅勤務をソフトウェアでサポートするのが重要だ。Office Grooveなどのコラボレーション製品で支援したい」と語った。

 Office Grooveは単体製品のほか、ボリュームライセンスのみで提供するオフィス製品の最上位スイート「Office Enterprise 2007」に含まれる。

 the 2007 Microsoft Office Systemは現在、日本語版のベータ1を提供中。6月までにはベータ2をリリース予定。製品の出荷はボリュームライセンス版が2006年10月以降、パッケージ版とプレインストール版は2007年1月以降の予定だ。

(@IT 垣内郁栄)

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