「Google ブック検索」年内開始へ、書籍の一部を試読可能

2006/5/12

 グーグルは5月11日、書籍の内容をキーワード検索し、本文の一部をWebサイト上で読むことができる新サービス「Google ブック検索」を年内にも国内で開始すると発表した。書籍登録を呼びかける出版社向けのパートナー プログラムのWebサイトを同日、開設した。

欧米などで始まっているGoogle Book Search(英語版)の検索結果。書籍のスキャンイメージを確認できる

 グーグルがすでにサービスを開始している米国では、同社は5つの図書館と提携し、書籍をスキャンしてページの抜粋を読むことができるサービスを提供している。しかし、国内では「図書館と提携する予定は当面ない」(グーグル ビジネスプロダクト マネージャー 徳生裕人氏)としていて、出版社が登録した書籍だけを検索対象にする。欧米では図書館の所蔵書籍をスキャンしてページの抜粋を表示するサービスについて、出版業界から抗議の声が上がっている。

 Google ブック検索では、キーワード検索によって、そのキーワードを本文中に含む書籍のリストが表示される。リストをクリックするとグーグルがスキャンした書籍の本文ページを読むことができる。本文ページを表示するにはGoogle アカウントが必要。ユーザーが読むことができるのはキーワードを含むページと、その前後2ページ。キーワードを変更することで、別のページを表示させることはできるが、単一書籍で同一ユーザーが読むことができるのは、月に書籍全体の20〜30%(出版社が指定可能)程度に限定される。また、出版社はキーワードにかかわらずに表示しないページを設定することも可能で、「書籍のすべてを見ることはできないようになっている」(徳生氏)という。

グーグルのビジネスプロダクト マネージャー 徳生裕人氏

 出版社はパートナープログラムのWebサイトからグーグルと契約し、検索対象にする書籍を登録する。ISBNコードを持つ書籍が対象で、雑誌は不可。WebサイトでISBNコードなどを登録した後に、書籍をグーグルに送付する。本文のスキャン作業は米国で行う。書籍の本文表示ページにはオンライン書店や出版社の販売サイトへのリンクが表示される。Google ローカルへのリンクも設定され、その書籍を購入できる書店を見つけることができる。本文表示ページには広告も表示され、その収益は出版社とグーグルが折半する。

 グーグルはすでに出版社と話し合いを始めていて、ある程度の書籍が登録され、システムの整備が完了した段階でサービスを開始する考えだ。

 徳生氏は、「Web検索の技術を使ってオフラインの質の高い情報を検索できる」とメリットを説明。出版社に対しては、既刊本など書店に並びにくい本でもキーワード検索によって見つけ出してもらえるとし、「これまで想像できなかったような本との出会いを読者に提供でき、無料で本のマーケティングができる」と語った。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
Google ブック検索について
Google Book Search(英語版)

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