NEC連結決算は33%の減益、ITソリューションが低調

2006/5/12

 NECが5月11日に発表した2006年3月期連結決算は、営業益が33%減の954億円だった。当期純利益は84%減の121億円。半導体や携帯電話端末の回復が遅れ、為替変動によってPC事業が赤字となったのが響いた。NECは「改善施策の実行、環境変化対応へのスピード不足」としている。

NECの取締役執行役員専務 的井保夫氏

 売上高は前年同期比0.5%増の4兆8249億円だった。セグメント別ではシステム構築やサーバ、PC、ソフトウェア事業などのITソリューションが営業損益で22%減の818億円と低調。売上高はほぼ横ばいだったが、為替の影響を受けたPC事業や、ソフトウェア開発の先行投資、保守事業の収益減少などで営業益が落ち込んだ。

 ITソリューションの中ではサーバ事業だけが増益で、PCやソフトウェア、システム構築/サービスは減益だっだ。NECの取締役執行役員専務 的井保夫氏は「保守収益が予想以上に低下した」と語った。だが、プロジェクトマネジメント力の強化で、不採算プロジェクトの発生を抑制できてきたとして、システム構築/サービスでは今期、増益を計画としている。ITソリューション全体では約900億円の営業利益を見込む。

 ネットワークソリューション事業は海外の携帯電話端末事業が赤字となり、売上高が5%減の1兆7862億円となった。だが、社会インフラ製品、モバイルインフラ製品は好調で、営業利益は205億円増加して620億円。2007年3月期は、海外の携帯電話端末事業を大幅に絞り込むことで、赤字を縮小する考え。通信キャリア向けネットワーク機器では、次世代ネットワーク(NGN)のトライアルが始まると見ていて、開発費用を約100億円上乗せして対応する。

 エレクトロンデバイス事業は半導体事業の大幅赤字で、255億円の営業赤字に転落した。売り上げは7%減の8084億円だった。2007年3月期は半導体事業の黒字化を達成することで、約80億円の営業黒字を目指す。

 2007年3月期の連結決算は売上高が4兆9000億円、営業利益は1300億円、当期純利益は500億円を予想している。

 NECは、100%子会社のNECエンジニアリングで発生した架空取引の影響で、2001年3月期から2005年3月期までの連結財務諸表を修正した。的井氏は「内部統制の仕組みはできていたが運用に問題があった」と説明。「組織、体制についてけん制の配慮が足りなかった。1人で何でもできてしまうのはまずい。内部監査や現品確認を徹底する」と語った。

(@IT 垣内郁栄)

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NECの発表資料

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