Suicaがネット進出、ヤフーとJR東日本が包括提携

2006/5/23

 ヤフーと東日本旅客鉄道(JR東日本)は包括提携し、「Yahoo! JAPAN」上でのモバイルSuicaの決済サービスを2007年春にも開始すると5月22日に発表した。提携クレジットカードの発行やポイント変換サービスなども検討していて、「ネットとリアルの融合」(両社)を目指すという。

提携を発表したヤフーの取締役COO 喜多埜裕明氏(左)とJR東日本の取締役IT事業本部長 見並陽一氏

 両社は2007年春にも「Yahoo! ショッピング」の決済にモバイルSuicaを使えるようにする。PC向け、携帯電話向けの両方に対応させる方針。Yahoo! オークションなどほかのサービスも順次対応させる考え。カード型の「Suica電子マネー」の決済も検討する。Suicaがネット上の決済に対応するのは今回が初めて。モバイルSuicaの決済に対応することで、「若年層やネット決済未体験層でのインターネットショッピング利用の拡大」(ヤフー)をもくろむ。ヤフーの取締役COO 喜多埜裕明氏は「ヤフーの基本はネットだが、ユーザーが遭遇するのは外の世界。ヤフーのサービスの出口をJR東日本とやっていければよい」と話した。

 JR東日本にとってはヤフーとの提携で、Suicaが利用できる加盟店の大幅な拡大が期待できる。オークションなどに広がれば決済件数の増大も考えられる。Suicaは2006年4月で1630万枚が発行され、電子マネー利用は1日28万件。JR東日本の取締役IT事業本部長 見並陽一氏はヤフーとの包括提携で、「Suicaで日々使われているくらいの決済はネット上で決済されると期待している」と述べ、将来的にリアルの決済とネットの決済が同等規模になると予測した。見並氏はまた提携について「ネット上でのSuica利用に道が開けたエポックメイキングなことだ。Suicaがリアルだけでなくネットの生活シーンの中でも利用してもらえる」と語った。

 両社はそれぞのブランドをつけた新しいクレジットカード「Yahoo! JAPANカード Suica」(仮称)を2007年度中に発行する。Suicaとして使えるうえにクレジットカード利用によってYahoo! ポイントが貯まる。さらに貯まったYahoo! ポイントをSuicaの電子マネーに変換できるサービスも開始する。将来的にはYahoo! ポイントとSuicaの電子マネーを相互に交換できるようにすることを検討。オークションで落札した品物をJR東日本のコンビニエンスストアで受け取ったり、Yahoo! トラベルとJR東日本の「えきねっと」の連携も計画している。

 今回の提携は「短期間で一致した内容」(喜多埜氏)。そのため正式発表には至らないものの、計画しているサービスがほかにもある。1つはネット広告と交通広告の連携。ヤフーは4月に新部署の「地域サービス事業部」を立ち上げていて地域生活情報の充実を図っている。JR東日本と協力することで、広告と連動し、生活情報の提供から電子マネー決済まで幅の広いサービスを提供できると見ている。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
ヤフーの発表資料
東日本旅客鉄道

[関連記事]
ドコモは1200万人に月1万円の与信を与えます (@ITNews)
今度のFOMAは、音楽でも負けない仕様? (@ITNews)
ヤフーのWeb2.0的な方向性、ジェリー・ヤン氏がプレゼン (@ITNews)
開発者向けにヤフーが検索API公開、「はてな」が採用 (@ITNews)
検索分野の最大ニュースは「Yahoo! JAPANの検索エンジン変更」 (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)