米国担当者がにおわす「Citrix Presentation Server」次期版の姿

2006/6/28

 米シトリックス・システムズのVirtualization Systems Group Technical Marketing&Competitive Intelligence ディレクタのビル・カロバーノ(Bill Carovano)氏は6月27日、同社の「Citrix Presentation Server」の次世代製品などに盛り込む技術群「Constellation Technologies」の概要を明らかにした。Presentation Serverは今年、新バージョンの「Project Ohio」(開発コード名、以下同)を発表する予定。マイクロソフトの次期サーバOS「Longhorn」で稼働するさらに次のバージョン「Project Delaware」も計画している。

米シトリックス・システムズのVirtualization Systems Group Technical Marketing&Competitive Intelligence ディレクタのビル・カロバーノ氏

 カロバーノ氏は都内で講演し、その後インタビューに答えた。Project Ohio、Delawareともエンドユーザーの操作性向上やセキュリティ、運用管理の向上などを図る。新機能としては特にシンクライアント上でのVoIPサポートを挙げた。概要を明らかにしたConstellation Technologiesは、6つの技術要素からなり、次期Presentation Serverの機能、もしくは単体製品として提供する。

 Constellation Technologiesの1つである「Policy-based Session Recording」は「デジタルビデオレコーダのように」(カロバーノ氏)、Presentation Serverでホストするアプリケーションのセッションを記録し、あとから再生可能にする技術。コンプライアンス対応の監査などに利用できるという。「User Experience Monitoring」は米シトリックスが買収したReflectent Softwareの技術をベースに開発中。Presentation Serverを利用するエンドユーザーの視点で、アプリケーションのパフォーマンスを調査し、ボトルネックを探し出す。User Experience Monitoringは単体製品として提供する見込み。

 また、「Dynamic Capacity Provisioning」はPresentation Serverで稼働するアプリケーションに割り当てるリソースの管理を自動化する。ほかに次世代のPresentation Serverの機能として盛り込む「Autonomic Load Management」や、サーバベースコンピューティング環境でCADなどのグラフィックスソフトウェアの利用を可能にする「Extreme Graphics Acceleration」、「System Health Monitoring」がある。カロバーノ氏は「市場のニーズに応じて製品として出すか、機能として実装するかを検討したい」と話した。

 シトリックスは2007年末から2008年にかけて出荷されると見られるLonghornと同期した形でPresentation Serverの開発を進めている。シトリックスとマイクロソフトは協業関係にあり、「Windows Terminal Services」についても開発で協力。カロバーノ氏はLonghorn上で次世代Presentation Serverを稼働させることで、仮想環境の安定性や、1サーバ当たりのユーザー数、管理性が向上すると説明した。

 同社は企業情報システムで利用するアプリケーションを、クライアント/サーバ、Webアプリケーション、デスクトップアプリケーションの3つに分類。クライアント/サーバには仮想化のPresentation Server、Webアプリケーションには通信を最適化する「Citrix NetScaler」を提供してきた。そしてデスクトップアプリケーション向けには2006年末を目標に「Project Tarpon」を進めている。

 Project Tarponは「デスクトップアプリケーションをストリーミングする。Presentation Serverの集中管理のメリットを活かしながら、オフラインでもアプリケーションが利用できる」(カロバーノ氏)。Presentation Serverは原則ネットワークに接続していないとアプリケーションを利用できないが、Project Tarponの技術を使えばオフラインでもアプリケーションが使えるという。「Presentation Serverに対する補完的な役割を果たす」

 同様の技術はシトリックスの協業相手であるマイクロソフトも米ソフトリシティを買収し、手に入れた。ソフトリシティの「SoftGrid Desktop Virtualization Platform」はアプリケーションを実行させるためのパッケージを、サーバからクライアントPCに配信し、クライアントで実行させる仕組み。配信後はオフラインでアプリケーションを稼働することも可能。配信するアプリケーションはサーバで集中管理するので、アップデートなどの手間を削減できる。

 カロバーノ氏は「SoftGridのコンセプトはProject Tarponに似ている」としながらも「マイクロソフトがどう展開するかは不明。Project TarponとSoftGridは技術的な実装に違いがあり、マイクロソフトとは両技術を組み合わせた新たなソリューション開発が可能だろう」と語った。

(@IT 垣内郁栄)

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シトリックス・システムズ・ジャパン

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