3カ年計画「PLAN-J」は成功している〜MSヒューストン社長

2006/7/14

 マイクロソフトは7月13日、報道関係者向けに新年度経営方針説明会を実施し、同社 代表執行役社長 ダレン・ヒューストン(Darren Huston)氏が、2005年を振り返るとともに今後の経営方針を語った。

 ヒューストン氏はまず、日本におけるマイクロソフトの立場を説明。日本は米国に次ぐ第2の市場で、同社売り上げの約10%を占めるとした。そして、パートナーとの関係の重要について「ビル・ゲイツ会長は20年以上前から日本で活動していたが、日本法人を設立してから今年が20周年に当たる。当社にはビジネスパートナーの存在が欠かせないが、現在、6000のパートナー企業が存在し、そのうち1000社がマイクロソフト認定パートナーで、300社がゴールドパートナーとなっている」と語った。

今後の戦略や展望を話すマイクロソフト 代表執行役社長 ダレン・ヒューストン(Darren Huston)氏
 また、ビジネス分野における成長も強調した。同社は従来よりコンシューマ向け分野の売上比率が高かったが、現在ではビジネス分野とコンシューマ分野の売り上げが、おおよそ50%対50%になったという。ビジネス分野では、ミッションクリティカル分野での利用促進を目指した。その結果、地方銀行でマイクロソフト製品が採用されたり、鉄道会社において鉄道の運用管理に利用されるなど、着実に利用を広げているという。

 コンシューマ分野では、まずW-ZERO3シリーズの成功を挙げた。「着任当初は3年以内にWindows Mobile搭載携帯電話をリリースすると約束したが、かなり前倒しができた。特にW-ZERO3シリーズは予想以上の売れ行きで驚いている」とコメント。そのほか、カーナビゲーションへのWindowsの進出やXbox 360の投入などのトピックスを挙げた。そして、日本市場へのコミットメントは、「引き続き投資の拡大とパートナーシップの拡充、そしてサービスの革新を約束する」(ヒューストン氏)と語った。

 続いて、ヒューストン氏自身が就任直後に発表した日本市場における3カ年計画「PLAN-J」の1年間の進ちょく状況を説明した。まず同氏は「PLAN-Jは順調にきちんと進んでいる」と評価。パートナー各社とともにさまざまな取り組みができているとした。例えば、東芝とはHD DVD連合での連携を深め、HD DVD促進へさまざまな取り組みを行っているとしたほか、ウィルコムとシャープとはW-ZERO3シリーズの投入で連携を深めたとコメントした。

 NTTドコモとの連携については「いままではあまり協力関係は深くなかったが、昨日Windows Mobile搭載機器を発表するなど、ビジネスモバイル分野で緊密な関係を築いていきたい。全体として、日本の顧客の満足度は、この1年間ワールドワイドで一番上昇した。このことからもPLAN-Jは評価できる」と語った。一方、今後の課題については、「デジタルインクルージョン」と「ITプロフェッショナル」「デベロッパ」の3点を挙げた。

 デジタルインクルージョンの問題では、日本企業におけるITの活用度の低さを指摘。世界平均が10%であるのに対して日本は2%にすぎないとした。その要因は中小企業における導入率の低さにあると分析。教育分野でも日本は米国の半分程度しかITが使われていないという。さらに、政府機関の進出では米国やカナダが税金の支払いなどの約50%をデジタル化しているのに対して日本は1%程度だとし、今後はこれらの問題を解決しなくてはならないと強調した。そして、政府連携の成功例としてワーム「Antinny」の問題を挙げ、「政府との連携によって、Windows UpdateにてAntinny駆除ツールを配布したところ、50万台のPCからAntinnyの駆除に成功した。これは政府と当社のよい連携事例となるだろう」とコメントした。

 ITプロフェッショナルについては、「日本ではITプロフェッショナルに就いている人間が幸せではない」と分析。その理由として、ITプロフェッショナル人員の社内における地位が低く発言力が弱い点や、そのため社内の決定に携われていないうえに技術に相当した報酬が得られていないと評価。また、デベロッパも不満が多いため、ITプロフェッショナルやデベロッパの問題を解決すべく、「マイクロソフトがトレーニングプログラムなどを展開することで改善し、若いエンジニアがワクワクしてIT業界に入ってこれるような環境を構築していきたい」と語った。

 今後のロードマップについては、「とにかくWindows Vistaからすべてが始まる。Vistaが旗印になる」(ヒューストン氏)と語り、その後、業務アプリケーションの「Microsoft Dynamics」やセキュリティソフト「Microsoft Forefront」を投入していくとした。

 欧州連合(EU)がマイクロソフトに対して2億8050万ユーロ(約410億円)の制裁金を科すと発表した件については、「昨夜もこの件についてブリーフィングを行ったが、この発表はとても残念だ。当社はこの問題について、非常に多くのリソースを投入して対応してきた。それが認められなかったことは残念なことだ。しかし、Windows VistaやOffice 2007への影響は少なく、この問題で販売が遅れることはないだろう」とコメント。また、Windows Vistaの販売時期が遅れるのではないかという質問に対しては、「私の立場でも分からない問題だ。一番詳しいゲイツ会長でさえ、『80%大丈夫だろう』というコメントをするに留まっている」と回答した。

(@IT 大津心)

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