MS、年末にもセキュリティ製品「Forefront」を出荷予定

2006/8/2

 マイクロソフトは8月1日、2007年度のセキュリティ戦略を発表した。製品レベルとガイダンスレベルおよび、他社・他団体とのパートナーシップレベルの3つの段階を通じて行う。

マイクロソフト セキュリティ戦略責任者 古川勝也氏

 製品レベルでは、「Forefront」という新たなブランド名のビジネスセキュリティ製品群をリリースする。2006年下半期に「Forefront Security for SharePoint」と「Forefront Security for Exchange Server」を出荷する予定。これらの製品は、マイクロソフトが2005年に買収した米Sybari SoftwareのAntigenがベースである。メッセージングとコラボレーションサーバ用のウイルス対策・スパム対策製品だ。2007年上半期には、「Forefront Client Security」をリリース予定。これらの製品群により、セキュリティ市場への全面展開を行うことになる。

 このほか、コンシューマ向けのマルウェア対策ツールとして、オンデマンド版の「Windows Live OneCare」を提供する。現在、英語によるベータ版(常駐型)を公開しており、ユーザーは無償でダウンロードできる。

 オンデマンド版「Windows Live OneCare」は、ウイルスの検知・駆除をはじめ、ハードディスクのデフラグなど総合的なセキュリティ対策を提供する「Windows Live OneCare セーフティセンター(仮)」と、アクセス制限を設定する機能などを充実させた「Windows Live OneCare ファミリーセーフティ」の2種類を用意する。スパイウェアなどの有害なソフトウェアをコンピュータで検出し、削除する「Windows Defender」と併用することもできる。

 ガイダンスレベルにおいては、セキュリティ確保のための技術資料の提供のほか、トレーニングや教育も行う。同社がこれまで行った無償トレーニングには「のべ10万人が参加した」(マイクロソフト セキュリティ戦略責任者 古川勝也氏)という。

 セキュリティに関係したパートナーシップの展開という側面では、代表的な例として「セキュリティ対策推進協議会」(SPREAD)に会員・テクニカルコンサルタントメンバーとして参加するという活動を紹介した。

 SPREADは、NPO日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)とテレコム・アイザック推進会議が中心になって活動する団体で、セキュリティ対策の情報を地域のPCエキスパートに提供することを目的とする。SPREADによると、PCユーザーがセキュリティ対策の情報を入手する経路は、メディアか、“近くにいるパソコンに詳しい人”だという。つまり、“近くにいるパソコンに詳しい人”=PCエキスパートに正しいセキュリティ情報を届けることができれば、セキュリティ情報の伝播(でんぱ)に成功するとの目論見がある。

 SPREADはPCエキスパートを「サポーター」と位置付け、彼らに対して「SPREAD速報」とその詳細版である「SPREADレポート」を提供する。2月から試験配信している。8月1日にはWebページを刷新した。将来的には、このWebページを通じて、地域のサポーターを紹介できる仕組みを提供する予定。

(@IT 谷古宇浩司)

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