「控えめに見ても……」、内部統制整備で覚悟すべきコストは?

2006/8/2

 ビジネスブレイン太田昭和の取締役で、公認会計士の野崎正幸氏は7月31日、日立ソフトウェアエンジニアリングが主催した「日本版SOX法セミナー」で講演し、内部統制整備のプロジェクトを立ち上げる際の検討事項を説明した。内部統制整備のコストは「控えめに見て大企業では1億円、中堅企業では5000万円を覚悟すべき」と説明した。

ビジネスブレイン太田昭和の取締役 公認会計士の野崎正幸氏

 野崎氏は「業務プロセス統制での文書化が最もコストがかかる」と指摘した。フローチャート、業務記述書、リスクコントロールマトリクス(RCM)の文書化3点セットを作成し、読み合わせであるウォークスルー、運用テストを行うのに1プロセス当たり、1人の担当者が2週間掛かると説明。

 事業を多角化していない企業では通常、100の業務プロセスがあるといい、これらの数値を考えると業務プロセスの文書化には約50人月の工数が掛かることになる。1人月のコストを200万円と考えれば1億円、100万円と考えれば5000万円の予算が必要。加えて、全体統制やIT統制の作業も必要になり、コスト増が予測されるという。

 野崎氏は内部統制整備のプロジェクトについて「継続的な対応ができるように専任体制を作るべき」と説明した。文書化の作業はプロジェクトの事務局となるPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)が担当するが、文書化作業をPMOがどこまで行うかは企業によって対応が分かれるという。

 PMOが現場担当者からインタビューなどを行って文書化作業を行うケースでは、作業が効率的に進み、文書の品質も均一になる。しかし、内部統制の意識が全社に浸透しにくいというデメリットがある。対して、PMOが指導して現場担当者が文書化を行うケースでは、内部統制の意識が現場に浸透することが期待できる。だが、文書化のレベルがバラバラになり、効率が悪くなるデメリットが予測される。野崎氏は「各社の事情に合わせて進めることが重要」と話した。

 日本版SOX法(金融商品取引法の一部)が2008年4月から適用されることを考えると、2007年3月までに、3点セットの作成やウォークスルー実施などの内部統制の整備とその評価を親会社が行う必要があると野崎氏は説明。同時に子会社でも内部統制整備の準備を行う。2007年4月から2008年3月までは、親会社で運用状況の評価を実施、子会社でも内部統制の評価を進めるというスケジュールを野崎氏は示した。

(@IT 垣内郁栄)

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ビジネスブレイン太田昭和

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