「日本のIT技術者は“3K”」、MSが技術者コミュニティ支援で解決目指す

2006/8/30

 マイクロソフトの代表執行役 社長 ダレン・ヒューストン(Darren Huston)氏は8月29日、開催中のイベント「Microsoft TECH・ED 2006 Yokohama」で講演し、Windows関連のコミュニティを支援する新しい施策「Microsoft Community Ring」を発表した。世界で活動するコミュニティ支援組織との協業が施策の中心。ヒューストン氏は日本のソフトウェア開発者や、システム運用管理担当者の現状を「厳しい、きつい、帰れないの3Kだ」と指摘。エンジニアのコミュニティを活発化させることでこれらの問題を解決し、「日本のエンジニアの役割をもっとエキサイティングにする」と話した。

マイクロソフトの代表執行役 社長 ダレン・ヒューストン氏

 ヒューストン氏は「米国では運用管理担当者や開発者はもっと自分の仕事を楽しんでいる。日本はデジタルワークスタイルが遅れているから楽しむことができないのではないか。日本のエンジニアはまだまだハッピーではない」などと語った。

 そのうえでヒューストン氏はエンジニアのコミュニティ活動が3K脱出に効果的と指摘、「チームワークとネットワークをベースにしたコミュニティの形成が重要だ」と話した。コミュニティ活動を通じてエンジニアが知識を共有したり、スキルアップ、共同作業、自己啓発することが重要という。

 Community Ringの柱は、運用管理担当者のコミュニティ活動を支援するワールドワイドの非営利団体「Culminis」の日本支部で、マイクロソフトの支援で設立した「Culminis in Japan」との協業。マイクロソフトは.NET開発者対象のコミュニティ支援団体「INETA」(International .NET Association)の日本支部で、2002年4月から日本で活動している「INETA Japan」との協業も強化した。INETAもマイクロソフトが2002年の設立当初からスポンサーとして支援してきた団体。

 マイクロソフトはCulminis in Japan、INETA Japanの両団体を通じてWindows環境や.NET環境のエンジニアのコミュニティ立ち上げを支援する。コミュニティに対してマイクロソフトの担当者を講師として派遣したり、ベータ段階の製品の技術情報を提供する。コミュニティのイベントや広報活動の支援、MSDNサブスクリプション、TechNetサブスクリプションの割引販売も行う。

 Culminisは60カ国で720のユーザーグループが活動。173万人以上のエンジニアが参加している。TECH・ED開催に合わせて日本支部を設立し、参加コミュニティの募集を開始した。INETA JapanにはVSUGやPASSJなど国内73のコミュニティが参加している。

 マイクロソフトのデベロッパー&プラットフォーム統括本部 IT技術者アドバンス テクノロジー本部 業務執行役員 本部長 北川裕康氏は「INETA Japanで実際に活発に活動しているのは73コミュニティのうち、20あまり。もっと活性化していく。当面は100コミュニティの参加を目指す」と話した。まずはINETA Japan、Culminis in Japanに参加するコミュニティを支援するが、「次の段階としてオンラインベースのコミュニティの支援もしていきたい」(北川氏)という。

(@IT 垣内郁栄)

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マイクロソフトの発表資料

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