SaaSは事業の柱になるか、米社と提携した日立ソフトの動きは

2006/9/12

 日立ソフトウェアエンジニアリングの代表執行役・執行役社長 兼 取締役 小野功氏は9月11日会見し、セールスフォース・ドットコムとの提携で開始したサービス事業を大幅に拡大する考えを示した。現状はシステム開発事業が日立ソフトの屋台骨。だが、2010年度にはサービス事業とプロダクト&パッケージ事業で営業利益の50%以上、100億円以上を挙げられるように強化するという。

日立ソフトウェアエンジニアリングの代表執行役・執行役社長 兼 取締役 小野功氏

 日立ソフトは8月30日にセールスフォース・ドットコムと提携。同社のSFA、CRMアプリケーション「Salesforce.com」をSaaS(Software as a Services)のプラットフォームとして活用し、日立ソフトのアプリケーションをSalesforce.comと連携可能な「AppExchangeアプリケーション」として提供する計画を立てている。

 小野氏はサービス事業について最初のステップではSalesforce.comの再販やシステム構築を手がけると説明。第2ステップでは販売管理システムや会計業務システムなど日立ソフトの独自アプリケーションをAppExchangeアプリケーションとして提供し、SaaSの品ぞろえを拡大する。第3ステップでは日立ソフトのデータセンターと連携し、顧客企業のIT資産のすべてを預かり、サービスとして提供することを計画している。

 サービス事業のもう1つの柱はセキュリティ分野。日立製作所が開発したシンクライアント型のセキュリティPCと、日立ソフトのセキュリティ製品「秘文」を連携させ、リモートアクセスのセキュリティを確保する。データセンターやブレードサーバを組み合わせて、顧客のクライアントPC環境をフルアウトソーシングするサービスも計画している。

 日立ソフトは2008年度に営業利益率8%以上、2010年度に同10%以上を目指している。システム開発事業では、いわゆる日本版SOX法(金融商品取引法の一部)をにらみ、内部統制関連のコンサルティングやシステム構築を強化する。資本参加したビジネスブレイン太田昭和との関係を深める。また、組み込みソフトウェアの開発にも力を入れる方針で、小野氏は「これまでの携帯電話だけでなく、カーナビや情報家電のソフトウェア開発に事業を拡大する」と話した。

 プロダクト&パッケージ事業は、秘文に次ぐ製品の育成が課題。指静脈認証システムの「静紋」や文書管理パッケージ「活文」などの拡大を目指す。ストレージ向けに「エンタープライズサーチ型統合データ管理」のソフトウェア製品も開発中という。スイスのOsmosysと協業し、Blu-rayプレーヤー/レコーダ向けのミドルウェア開発を行うことも発表した。

(@IT 垣内郁栄)

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