コーエンCEOがコメント

「MSがLinuxの重要性を認めた」、OSDLが“歴史的提携”を評価

2006/11/08

 OSDL(Open Source Development Labs)のCEO スチュアート・コーエン(Stuart Cohen)氏は11月8日都内で会見し、米国で発表された米マイクロソフトと米ノベルとの提携について「マイクロソフトがLinuxの重要性を認めたということだ」と語った。コーエン氏は「これは前向きのサインだと思う」とも述べ、歓迎する意向を示した。

osdl01.jpg OSDLのCEO スチュアート・コーエン氏

 マイクロソフトとノベルは11月2日、WindowsとLinuxの相互運用性向上やサポートの強化で提携した。WindowsとLinuxを必要とするマイクロソフトの顧客に対して、マイクロソフトがノベルの「SUSE Linux Enterprise」を提供したり、ノベルのサポートを受けられるクーポンを配布するなど技術、サポート、ビジネスに関係する広範囲な提携。米メディアは「歴史的な提携」と伝えた。

 コーエン氏は提携について「マイクロソフトの顧客の中でLinuxが無視できなくなっていて、その勢いが加速していることをマイクロソフトが認めたということだ」と分析。マイクロソフトの「Office Open XML Formats」と、ISOなどで標準規格となった「OpenDocument Format」のフォーマット変換ツールを両社が共同開発することを挙げて、コーエン氏は「マイクロソフトの前向きのサインだ」と話した。

 コーエン氏はまた、米オラクルがRed Hat Linuxをフルサポートすると発表したことに対して「Linuxとデータベース、アプリケーションが連携する現状を考えると、システムベンダが提供するようなサポートがLinuxに提供されるのは、自然な流れだ」と語った。

 OSDLは都内で理事会会議を開催し、新しい方針として「Linuxとオープンソースソフトウェアの開発と採用を促進していく」ことを決定した。開発の促進ではLinuxカーネルの技術文書作成を支援するための基金を設立することを発表。採用の促進では、「Linuxを採用するのは当たり前で、顧客はLinuxをどう活用するかを考える時期に来ている」(コーエン氏)との考えから、Linuxの開発者、ベンダ、ユーザーの間の情報共有を図る。

 国内ではこの考えからシステム・インテグレータの間でLinuxの関連情報を共有する「SI Forum」や、開発者向けの「OSDL Japan Linux Symposium」を開催している。OSDLの議長 リチャード・ワート(Richard Wirt)氏は「企業の開発者とコミュニティの橋渡しをすることで、Linuxの成熟と新しい市場の創出につながるだろう」と話した。

関連リンク

(@IT 垣内郁栄)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)