ガートナー「企業におけるメッセージングツールの利用実態」

電子メール受信数は送信数の約4倍、CCが押し上げる

2006/12/18

 ガートナー ジャパン IT Demand リサーチの志賀嘉津士氏は12月18日、「企業におけるメッセージングツールの利用実態」調査結果を発表した。それによると、この15年で電子メールによる“ビジネス・コミュニケーション革命”が起き、電話を中心としたコミュニケーション形態を駆逐した。そして、電子メールの利用者数の増大により、これまでは考えられなかった課題が登場してきたと志賀氏は言う。

志賀嘉津士氏 ガートナー ジャパン IT Demand リサーチの志賀嘉津士氏

 同社の調査では、電子メールが登場以前の企業のコミュニケーション手段として主なものは電話。全体の81%が電話を使用していたが、電子メールの登場で電話の利用率は19%に後退した。電子メールの利用率は全体の77%である。

 1人あたりの電子メールの受信数は年々増加している。それと同様に、添付ファイルメールの流通数も増加した。電子メールを利用することによる効果として浮かび上がった意見には、「文書の送付が楽になった」というのが多数を占めた。つまり、従来、郵便やバイク便、あるいは手渡しで行っていた文書の流通が、電子メールで行えるようになったからである。

 さらに、電子メールの利用率が増加する要因としては、「記録を残しておけるため」「複数のメンバーと簡単に情報共有するため」などの意見が挙げられる。このことを裏付けるデータがある。

 PCで受信するすべてのメール数と送信するすべてのメール数にはおよそ4倍の開きがある。受信するメール数の数が膨大(ぼうだい)なのにも関わらず、送信するメール数はその4分の1に過ぎない。これは、ccやメールマガジンによる結果だとガートナーでは見ている。電子メール利用者が、「記録を残しておけるため」「複数のメンバーと簡単に情報共有するため」と回答した場合の具体的な行動は、ccで情報共有と証拠残しを行っていることを示している。

 志賀氏は、添付ファイルの内容は企業にとって重要な情報である場合がほとんどだ、と話す。日本でも企業の内部統制を強化する動きがあるが、添付ファイル付きメールが増加することで、電子メールそのものをアーカイバに格納するニーズが高まっているという。財務関連情報の正確かつ確実な運用と保存のためにもアーカイブツールの重要性が高まると説く。

 ガートナー ジャパンでは、当面電子メールの増加傾向は続くと予測している。

(@IT 谷古宇浩司)

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