Vistaの“3D”の演出が地味に見えてくる!?

3Dデスクトップ搭載のKNOPPIX 5.1.1を試してみた

2007/01/26

 CD-RやDVD-Rから直接起動できるLinuxとして人気の「KNOPPIX」(クノピックス)を日本語化する独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)は1月25日、最新バージョンとなる「KNOPPIX 5.1.1日本語版」をリリースした。

 最新の5.1.1の目玉は、3Dデスクトップ環境を搭載したことと、USBメモリからLinuxを起動する環境を半自動で構築するツールを収録したこと。

 現在、Linuxユーザーの間では、さまざまな3Dデスクトップ環境が話題となっているが、搭載グラフィックチップを選ぶこと、X Window Systemの設定が面倒なこと、必要なライブラリを必要なバージョンでそろえなければならないことなどから、手軽に試すことができなかった。KNOPPIXは緊急時にCDブートができるレスキュー用途のほか“お試し用途”としても人気が高い。今回のKNOPPIXの3Dデスクトップ環境搭載は、コンフィギュレーションファイルと格闘したくはないけれど、一度使ってみたいというユーザーには福音だ。

ISOイメージをCDに焼いて起動するだけ

 実際、お試しはきわめて簡単だった。

 産総研がKNOPPIXの公式ページで公開しているISOイメージをダウンロードし、そのイメージを焼いたCD-Rからブートする。続いて起動画面で「boot:」と表示されたら、「boot: knoppix desktop=beryl」とオプションを入れるだけ。Linuxを使ったことがない人でも、1時間とかからずに試せるはずだ。実際に編集部で試した映像は以下のとおり(やや画面が傾いているのはご容赦)。

 テストに使ったマシンは、ThinkPad X60(Core 2 T5600)、512MB、Intel945GM内蔵グラフィックチップといったスペックで、決して贅沢な環境ではないが、ご覧の通り、実にスムーズに動いている。今回のバージョンアップでは、「LCAT」(Live CD Acceleration Tool kit)と呼ばれるCD起動の高速化ツールも使用しているといい、OSやアプリケーションの起動も速いように感じる(光学ドライブのCD読み込みは32倍速)。

派手さを増すLinuxの3Dデスクトップ環境だが……

 上記の映像では、ウィンドウ枠が“ふるふる”と揺れたり、仮想デスクトップの切り替えがサイコロを転がすように見えたりするだけだが、Berylには、もっと派手なエフェクトが多く用意されている。ウィンドウやドロップダウンメニューが消えるときに、ボッと炎が出て焼け落ちたり、ウィンドウ枠から水の波紋が広がったり、ともかく派手だ。

 しかし、こうしたエフェクトを3Dデスクトップ環境と呼ぶことにはどうも違和感を覚える。先日、サン・マイクロシステムズの3Dデスクトップ環境の「Project Looking Glass」を試したが(参考記事)、2Dデスクトップ環境を擬似的に3次元で扱うことと、3次元空間でインターフェイスを新たに考え直すことは、文字通り、次元の異なる話だ。

 ところで、Linuxユーザーのこうした派手好きは今に始まったことではない。2Dデスクトップでも、やたらと半透明なターミナルウィンドウを使ってみたり、仮想デスクトップ切り替えをスムーズなスクロールにしてみたりする文化は、記者が知る限り90年代後半から盛んだった。それはちょうど派手に飾ったスポーツカーを乗り回して、「ほら、見てよ、オレのデスクトップ!」と見せびらかすようなものだと思う。派手なエフェクトと、便利で効果的なエフェクトは、必ずしも一致しない。メールが届いたことを知らせるとき、アイコンが明滅するのではなく、アイコンからデスクトップ全体に波紋が広がるようなインターフェイスは分かりやすく、効果的だろう。しかし、例えばサイコロのように転がる仮想デスクトップの切り替えは、果たして本当に直感的で分かりやすいのかは疑問だ。個人的には、キーを押したら瞬時にデスクトップが切り替わるインターフェイスのほうが、ずっと使いやすいと思っている。

 デスクトップはプライベートな空間のはずだが、3Dエフェクトの大半はユーザー自身ではない他者の目を意識して作り込まれている。作り手のマーケティング的な意図もあるだろうし、スポーツカー同様にユーザーになにがしかの満足感を与えるということもあるのだろう。Linuxの3Dデスクトップ充実は、Windows VistaのAeroやMac OS XのAquaへの対抗意識が背景にあるのは間違いない。

 クルマやケータイの所有が、単なる道具の所有というだけでなく、自分のライフスタイルを周囲にアピールし、また自己にも、そのライフスタイルや価値観を再確認するための道具となっているように、パソコンのデスクトップ環境やアプリケーションに何を選ぶのかも、セルフアイデンティティー措定の儀式の一環になっている、といったら大げさだろうか。

 といっている記者は、ノートPCにBerylを入れて、さりげなく友人に見せびらかそうと考え始めているのだが。もちろん、すべてのエフェクトは大々的に“オン”だ。

(@IT 西村賢)

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