大学が電子認証基盤を共通化

大学間でシングルサインオンを可能にする、NII

2007/02/26

NII写真 国立情報学研究所・客員研究員 岡部寿男氏

 国立情報学研究所(NII)は2月26日、大学間連携のための全国共同電子認証基盤(UPKI:University Public Key Infrastructure)の共通仕様を公開したと発表した。同仕様に沿った学内認証局を構築することで、全国の大学における情報連携が高いセキュリティ性を保ったまま可能になる。

 NIIでは、大学・研究機関が有している設備や基盤ソフトウェア、学術コンテンツ、学術データベースなどをネットワーク上で共有する「最先端学術情報基盤」(CSI:Cyber Science Infrastructure)の構築を計画しており、今回発表した共通仕様による電子認証基盤は、CSIを支える根幹的なインフラとなる。

 「UPKIのガイドラインを示すことで、各大学のPKI導入に対する将来の連携性確保やコスト削減が実現する」と国立情報学研究所・客員研究員 岡部寿男氏はいう。このような動きからも明らかなように、大学・研究機関の間には共通仕様による電子認証基盤が存在しなかった。そもそも、PKIの導入を行っていない大学もある。

 平成20年度まで共通仕様の策定作業を行い、平成21年度から本格運用を開始する。ただし、「大阪大学や東京工業大学など一部の国立大学は先行して開始する」(岡部氏)。

 共通化した電子認証基盤上では、研究者間の電子メールの暗号化が行われるほか、シングルサインオン、学生の単位互換といったWeb上の大学間連携サービス、グリッド・コンピューティングの構築によるインフラ資源の有効利用が可能になる。

 UPKIの共通仕様の公開と合わせ、大学の情報セキュリティポリシーの雛型となるポリシー規定集の策定も発表した。

(@IT 谷古宇浩司)

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