Oracle Databaseとの互換性が向上

オラクル、高速インメモリDB「Oracle TimesTen 7」を4月出荷

2007/03/07

 日本オラクルは3月7日、高いリアルタイム性が求められるデータベース市場向けの高速インメモリデータベース「Oracle TimesTen In-Memory Database 7」を4月3日に出荷開始すると発表した。メモリ上に構成するOracle TimesTenのデータベースサイズによって価格は異なり、2GB、1プロセッサ当たり150万円から。

 Oracle TimesTen 7は、2005年6月に米Oracleが米TimesTenを買収して以来、オラクル社内で開発された最初の製品。Oracle Database 10gとの互換性を高めたほか、機能面ではインテリジェントな動的キャッシュをサポート。また、製品の無期限サポートを新たに提供する。

 Oracle TimesTen 7はOracle Database 10gをはじめとする各社データベース製品、ミドルウェアと組み合わせて使うデータキャッシュ製品。アクセス頻度の高いデータをメモリ上にキャッシュすることで、高速なレスポンスと高い処理能力を実現する。これまで、ボトルネックを解消するために個別に高速化のロジックを作り込んでいた部分の置き換えを狙う。

timesten01.jpg 日本オラクル 常務執行役員 システム製品統括本部長 三澤智光氏

 今回のバージョンアップでは、DECODE、ROWNUMといったオラクル独自の拡張関数を含む拡張SQLや、独自のデータ型に対応したほか、DATE、TIMESTAMP、CHARなどのデータ型の挙動についてもOracle Detabaseと一致させ、互換性を高めた。「既存のアプリケーションを、あえて標準SQLに書き換える必要がない」(常務執行役員 システム製品統括本部長 三澤智光氏)。オブジェクト型やバイナリ型など、一部のデータ型はサポートされないが、「フィールドから要望が多いものから実装している。比較的シンプルなSQLを超高速で実行したいというニーズに応える製品」(システム製品統括本部 営業推進部 Grid Computingグループ担当シニアマネージャ 根岸徳彰氏)としており、通信、金融、EC、ゲーム、セキュリティといった多くのトランザクションが発生する市場に向けて販売する。

 動的キャッシュとして「Automatic Load on Select」と「Automatic Data Aging」を新たにサポート。Automatic Load on Selectでは、要求があったデータを自動的にキャッシュにロードする。顧客データベースで顧客Fがログインした場合、顧客Fのレコードを自動的にキャッシュするため、ログイン後のレスポンスを向上できる。Automatic Data Agingは、アクセス頻度やタイムスタンプを見て古くなったデータをOracle TimesTen上から削除またはデータベース側に書き戻す機能。

 拡販に向けた施策として、日本オラクルでは簡易パフォーマンス評価キットの提供も行う。既存システムで稼働中のデータベースからSQLを抽出し、評価キットのプログラムに入力。Oracle DatabaseとOracle TimesTenでSQLを実行し、レスポンスタイムを計測する。今後拡大が予想される組み込み市場向けには、2006年6月に設置した20人からなる専任営業・技術組織を中心に、通信機器ベンダやSIerなどのパートナーと組んで顧客への提案を拡大していく。

(@IT 西村賢)

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