9月までの5カ月間で技術的な検証

MSの「Open XML」フォーマット、ISO標準化に一歩近づく

2007/04/04

 4月2日、米マイクロソフトの「Office Open XML」フォーマットがInternational Standards Organization(ISO)標準の地位に一歩近づいた(参照記事:ODFとOOXMLが今夏ISOでガチンコ勝負)。同日から9月2日までの5カ月間、Office Open XMLの技術的な検証と承認に向けた投票が行われる。

 Ecma標準となった2006年12月以来進められてきたOffice Open XMLのISO標準化プロセスは、ここへ来て新たな局面を迎えた。

 Ecma Internationalは2007年1月に、Office Open XMLフォーマットのISO標準化を目指した早期承認プロセスの開始を申請している。その後30日間、ISO会員には同フォーマットに対する反論や異議を唱えるための期間(contradiction period)が与えられた。

 20カ国がこの期間中に、Office Open XMLをISO標準早期認証審査にかけることへのコメントや「反論」を提出し、Ecmaがそうした意見に対応してきた。

 ボストンの法律事務所Gesmer Updegroveのパートナーで、標準関連のブログサイト「ConsortiumInfo.org」の編集長でもあるアンドリュー・アプデグローブ(Andrew Updegrove)氏によれば、20件のコメントのうち14件は明確な反対を、2件は部分的な異論を、3件は留保的もしくは中立的な立場を、残りの1件は賛同を示していたという。

 ISOはEcmaの要求を承諾し、前述の通り4月2日に、Office Open XMLフォーマットの早期技術検証および投票プロセスがスタートした。

 マイクロソフトの広報担当者は、「Ecma InternationalのWebサイトに、ISOがOpen XMLフォーマットをISOの早期承認プロセスにおける次段階へ進め、さらなる検討を決めたと記載されていたのを見て、われわれは非常に喜んでいる」とだけ述べ、詳細はEcmaに照会するようeWEEKに伝えた。

 eWEEKはEcmaにコメントを求めたものの、直接回答は得られなかったが、同団体の新事務局長に就任したイストバン・セバスチャン(Istvan Sebestyen)氏がジュネーブで発表した声明には、ISO/IEC(International Electrotechnical Commission)はOffice Open XMLをEcma標準策定プロセスの次の段階へ直ちに進める見込みだと記されていた。

 「EcmaはISO/IECおよび同団体の加盟組織ならびに国別委員会と力を合わせ、彼らがOffice Open XMLに関して抱くであろうあらゆる技術的問題を解決していく所存である。Office Open XMLの『Ecma-376』規格がISO/IEC標準となる日を心待ちにしている」(セバスチャン氏)

 Open XMLの標準化作業は、Ecmaによる主導の下、技術委員会45(Ecma TC45)が業界横断的な取り組みとして進めてきた。Ecma TC45には、Apple、Barclays Capital、BP、British Library、Essilor、Intel、Microsoft、NextPage、Novell、Statoil、ToshibaおよびUnited States Library of Congressなどが参加している。

 とはいえOpen XMLの標準化は、すべての加盟組織から歓迎されるものではなかった。とりわけ、すでにISOの国際標準として承認された、競合規格のOpen Document Format(ODF)を支持する組織は難色を示した。

 eWEEKがODF Allianceの関係者筋から入手した情報によると、ISOに加盟している18の国別標準化団体が反対を表明したにもかかわらず、ISOはマイクロソフトのフォーマットを5カ月間の投票プロセスに組み入れたという。同関係者は、技術仕様が6000ページにわたって記述されている標準にしては、この選考期間は比較的短いと述べた。

 ただし、こうした状況は逆にODF側に有利かもしれないと、同関係者は指摘している。ISOの各国代表の賛同を得られないままOpen XML Formatの標準化が進められた場合、ODFが国際的に認知された唯一のオープンドキュメント標準としての立場にとどまる可能性は、かえって大きくなるというのだ。

 「提案された規格の標準化を却下するには、正式にはJTC-1メンバーと称されるトップ10カ国のISO会員が反対票を投じればよい。すでに異論を唱えている18組織のすべて、もしくは大半が、自分たちの反対が無視され、マイクロソフトのフォーマットが早期投票手続きにかけられたことに不満を募らせれば、そうした事態が起こる可能性は十分にある」(同関係者)

 アプデグローブ氏の話では、今年はすでにミネソタ州、テキサス州、カリフォルニア州が順番にODF法案を議会に諮っているが、オレゴン州がその4番手になるそうだ。

 「2005年にODFの公式採用規定を制定し、その道の開拓者となったマサチューセッツ州の事例を含めれば、これまでに米国全州の10%における議員たちが、公文書の保管責任を政府に負わせるための対策に積極的に関わったことになる」(アプデグローブ氏)

原文へのリンク

(eWEEK Peter Galli)

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