アクセンチュアが大企業の意識調査

日本のIT生産性の低さは果たして改善できるのか

2007/05/21

accenture01.jpg アクセンチュア システムインテグレーション&テクノロジー本部 テクノロジーコンサルティング統括 エグゼクティブ・パートナー 沼畑幸二氏

 アクセンチュアは5月21日、日本の大企業がITによる企業の生産性向上を実感できていないことを示す調査結果を発表した。同社が2006年9〜10月に、大企業の管理職232人を対象として実施したもので、IT部門と、業務部門、全社的経営目標が乖離(かいり)している状況が明らかになった。

 「この2〜3年で企業全体のITに基づく生産性は向上しましたか」という質問に「向上した」と回答した管理職の比率は、米国における同様の調査では75.5%だったのに対し、日本では52%に留まった。しかも、日本ではIT部門よりも業務部門のほうが高い評価をしているという特徴的な結果が出た。IT投資と経営目標の整合性がとれているかという質問についても、肯定的な回答が米国では83%だったのに対し、日本では38%に留まった。

 日本におけるIT生産性の低さの要因として、アクセンチュアではまずIT投資の多くの部分が業務部門に行われているための非効率を指摘する。各業務部門が社内での標準化を考えることなく、それぞれのニーズでIT投資を行ってきたために、IT投資が非効率化し、さらに効率化のための統合を妨げる要因にもなっている。結果として日本では固定的IT支出の割合が世界平均に比べて非常に高く、戦略的な支出を妨げているという。

 同調査の責任者である同社システムインテグレーション&テクノロジー本部 テクノロジーコンサルティング統括 エグゼクティブ・パートナー 沼畑幸二氏は、「ITガバナンスが効いていない」と表現する。各部門で最先端のテクノロジを導入するが、時間とともに陳腐化せざるを得ない。それらをどう巻き取っていくかという視点が欠けているというわけだ。「メインフレームなどレガシーシステムとのインターフェイスを保っていかなければならないことも足かせとなっている」と同氏は話す。

 社内システムの標準化努力が欠けており、さらにレガシーシステムとの兼ね合いでアプリケーションを分離できないために、オフショア開発などの利用によるコスト削減もままならず、SOAに基づくシステムの総合的な刷新も阻んでいるという。

 日本ではCIOの職が確立していないことも大きな要因になっている。CIOは本来なら業務部門を束ねて全社的に最適なIT投資を目指さなければならないはず。しかしその肝心のCIOが任命されていたとしても兼任であるケースが非常に多く、「ミッションが不明確で、コスト削減ばかりに注力してしまうケースも見られる」(沼畑氏)。さらに経営トップとのコミュニケーションも年に数えるほどという例があるほどで、CIOとしての機能を果たしていないと指摘する。

 こうした結果から、アクセンチュアとしてはCIOが経営に積極的に関与しなければならない一方、ユーザー側もIT活用の意識を高めることが必要とする。業務部門とIT部門によるIT投資のバランスについては、経営者が関与して全社的なルールを設定することで、IT投資の標準化を図り、集中化すべきだという。

 「業者からの見積りを見ると、『出精値引き』として一括の値引きが行われており、どれをどれだけ値引くのか分からない」(沼畑氏)といった点を正すことも含めて、ITの何にどれくらいの投資をしているのかを明確にすること、さらにどの時点でどのシステムに手を入れるのかといった明確な中期計画を立てて行動していくことも求められるという。

 「日本で強い製造業は、徹底的な標準化を図ってきた。製造業でできることが(ほかの業界の)IT投資でできないわけはない」と、沼畑氏は社内におけるITの標準化の重要性を訴えた。

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(@IT 三木泉)

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