米ビジネスオブジェクツ製品担当重役に聞く

BI製品は今後、オンデマンドと中堅向け製品に注力

2007/05/29

 企業の扱うデータ量が増加していく中、企業内データを有効活用できるBIツールの重要性も増している。BIツールのトップベンダである米ビジネスオブジェクツの製品担当シニアバイスプレジデント エルベ・クチュリエ(Herve Couturier)氏に同社の製品動向などについて話を聞いた。

クチュリエ氏写真 米ビジネスオブジェクツ 製品担当シニアバイスプレジデント エルベ・クチュリエ氏

 同氏によると、現在、ビジネスオブジェクツの製品群は大きく3つに分類される。1つ目が企業のパフォーマンス管理などを行う「EPM(Enterprise Performance Management)」、2つ目がOLAPなどの分析を行う「IDD(Information Discovery and Delivery)」、3つ目が「EIM(Enterprise Information Management)」だ。

 EPMは、企業の業績(パフォーマンス)を監視して経営陣が異常や問題を発見する管理手法だが、クチュリエ氏は「現在のEPMは主にCFO向けのものだが、将来的にはすべてのCxO、つまりデシジョンメーカー向けのものにしたい。そのための機能を提供していく」と説明した。具体的には、現在の財務分析機能だけではなく、CRM分析やトランザクション解析機能なども提供し、より多くのニーズに応えていきたいという。

 IDDはOLAPといった同社BIのコア技術であり、今後もXIプラットフォーム上で分析方法などを強化していくほか、検索機能も強化していくとした。検索機能では、例えば、「ハリウッドの歴代入場者数1位の監督」を検索したい場合、一般的なWebサイト用の検索エンジンでは「ハリウッド 歴代入場者数1位 監督」などと入力して検索すると、数百のWebサイトが表示され、そこからさらに情報の取捨選択をしなければならない。

 一方、BI用の検索エンジンでは、あらかじめデータベースに「ハリウッド」「歴代入場者数」「監督」などのテーブルを用意しておけば、簡単に探し出すことができる。さらに、「出演俳優」「撮影場所」といた項目も用意しておけば、「全米興行収入100位以内に入る、オーストラリアで撮影された映画」といった検索も可能となる。このように、最初から検索項目を決めずに、さまざまな検索ができるような機能を開発していきたいとした。

 3つ目のEIMは2006年11月に発表したばかりのビジョンで、分断されているデータを統合・管理するための包括的なアプローチ。現場のビジネス要件とデータ基盤のギャップを埋めるために必要なもので、EIMを導入することでミッションクリティカルな業務において企業内のデータをリアルタイムに扱えるようになるという。クチュリエ氏は、この点について「いままでのBIツールは、釣り針と竿を提供して『これを使って自分で釣りなさい』というものだったが、EIM以後のBIツールは調理済みの魚料理を提供するようになるイメージ。分析時に、解析済みのデータを提供できるようになる」と説明した。

 ビジネスオブジェクトでは、これらの3つの主力製品を従来の大企業向けスイート製品のラインアップに加え、オンデマンドおよび中堅企業向けパッケージでも提供していく。すでに同社のレポート作成ツール「Crystal Reports」はオンデマンド化され、Salesforce.comとの連携も実現されている。また、Crystal Reports以外の製品も順次オンデマンド化していき、6カ月後をめどにオンデマンド化を進めていくとした。

 ただし、オンデマンド化に当たっては「ライセンス面」と「管理面」での課題があるという。ライセンス面の課題は、現在のユーザーライセンスの形態を一部変更し、複数のユーザーグループで利用できるようにする必要があるという。管理面では、Webブラウザ上から容易に管理できるようなインターフェイスを用意するなど、現在よりも機能面での強化が必要だとした。

 ビジネスオブジェクツでは、今後さらにオンデマンドを促進するために、オンデマンド向けに1800人規模の開発者をそろえ、Javaや.NET、Flexなどさまざまな言語に対応していくとした。

(@IT 大津心)

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