これからは、帯域管理製品の導入が必須に

帯域管理業界はYouTube特需発生中〜米ジュニパー副社長

2007/06/06

 ネットユーザーが利用するデータ量は年々増加しており、キャリアは回線帯域の確保に注力しなければならなかった。このような状況に対応するために、帯域のコントロール(管理)が重要だという。米ジュニパーネットワークス 戦略・企画担当副社長 ジュディ・ベニンソン(Judy Beningson)氏に話を聞いた。

ベニンソン氏写真 米ジュニパーネットワークス 戦略・企画担当副社長 ジュディ・ベニンソン氏

 ベニンソン氏によると、キャリアはデータ量の増加に合わせて懸命に帯域幅を増やして対応してきた。しかし、エンドユーザーにブロードバンドが普及し、PtoPアプリケーションや動画などが流行し始めた3年くらい前から、「コスト面から考えて、帯域幅を増やして対応するのは賢明ではない」と考えるようになってきたという。このような発想から、限られた帯域幅を有効活用する、帯域コントロール製品の導入が始まった。

 また、ユーザーが利用するアプリケーションも劇的に変動している。2006年にはキャリア帯域の半分程度をPtoPアプリケーションが占有していた(関連記事参照:キャリアの帯域を占有する主役がPtoPから動画に変わる?)が、同氏によると「2007年には間違いなくYouTubeがPtoPを抜いて1位になるだろう。そのくらい、YouTubeの利用者は増えている。先ほど日本のある大手キャリア関係者と話したが、日本でも状況は同じようだ」と語っており、この1年を見ても利用されるアプリケーションが激変している。このような状況に対応し切れないキャリアは、当然顧客満足度低下を招く可能性が高いと指摘する。

 ベニンソン氏は、「まずはユーザーニーズを第一に考えて、管理していくことが重要だ。ユーザーニーズに基づいて帯域のポリシーコントロールを実施し、それをネットワークルータに反映させることが必要になってきている」と語る。また、企業側の対応も重要だ。IT管理者は自社内ネットワークの内訳をきちんと把握し、不必要なアプリケーションが利用されている場合には、それをカットしたり、その帯域を制限する必要がある。アプリケーションや必要な帯域を把握していれば、「普段は10Mbpsの契約で十分だが、水曜日はビデオ会議があるから30Mbpsが必要」などといったニーズが判明し、“常時30Mbps契約から水曜日だけ30Mbps契約に変える”といったコスト削減策も可能になるからだ。

 さらに、アプリケーション側でも工夫が必要だという。無駄な機能を利用しているために、無駄な通信が行われているケースも多いからだ。限られた帯域を有効に活用するためには、アプリケーションの無駄な(使っていない)機能を停止し、回線を効率よく利用することも必要となる。ジュニパーでは、マイクロソフトやポリコムと連携し、アプリケーションの効率化への取り組みを行っているという。

 今後のポリシーコントロールへの取り組みについては、「当社は、ネットワークのポリシーコントロール製品に加え、セキュリティ分野のポリシーコントロール製品も取り扱っている。現在は、それぞれ異なる部署で取り扱っているが、将来的には統一された1つの部署で取り扱うことになるだろう。2007年の第1四半期はYouTubeの利用拡大の影響もあって、ポリシーコントロール製品の売り上げが好調だった。今後もポリシーコントロール製品の需要は高まるだろう」(ベニンソン氏)とコメントした。

(@IT 大津心)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)