2次元バーコードにフラクタル図形を応用

フラクタルバーコードによる拡張現実の世界

2007/06/08

 2次元バーコードのQRコードが普及し、バーコードの進化は一段落した感もあるが、バーコードは未来に向けてまだまだ発展の余地を残しているようだ。ソニーコンピュータサイエンス研究所が研究を進めるフラクタル図形を用いたバーコードは、そうした可能性を感じさせるものの1つだ。

sony01.jpg フラクタル図形を用いたバーコードのデモンストレーション。読み取ったID情報とバーコード図形の位置情報から画像上で3次元オブジェクトを合成して表示している(ソニーコンピュータサイエンス研究所が都内で開催中の「オープンラボ2007」の展示から)

 フラクタルバーコードは、文字通り、同じパターンが大小に入れ子状になったバーコードだ。いちばん外側の四隅に置かれた黒丸と、四辺に置かれた複数のバーが第1階層目のID情報を24ビットで保持している。その内側は十字路を挟む形で4つのエリアに分けられ、それぞれが第2階層目のID情報を保持している。その内側には……、というように、合計4階層の入れ子構造で、ID情報が埋め込まれている。埋め込まれたID情報は、そのバーコード全体で共通するビット列と、バーコード中での位置を示す情報に分けられる。

 読み取りのためにカメラをバーコードに近づけすぎると、バーコードの一部分しか読み取り機器に映らない。しかし、フラクタルバーコードであれれば、最小単位のバーコードまでID情報が正しく読み取れ、なおかつ、それがバーコード上のどの部分であるかまで判別できる。逆に、遠くからであっても第1階層目の情報を読み取れるため、フラクタルバーコードは読み取り可能範囲がきわめて広いバーコード、ということになる。

sony02.jpg 2センチから2.5メートルの範囲まで読み取れるという

 読み取ったID情報とバーコード図形の幾何的な位置情報から、画像上で3次元オブジェクトを合成するという、いわゆる“オーグメンテッド・リアリティー”(AG)と呼ばれる研究分野がある。現実を模倣するバーチャルリアリティではなく、現実の世界に仮想的な情報を付加し、現実を“拡張する”(augment)するというアイデアだ。ソニーコンピュータサイエンス研究所は、AGを応用したプレイステーション3用のゲーム「THE EYE OF JUDGEMENT」をこの秋にも販売する予定だ。

 このAGにフラクタルバーコードを応用すると、これまでできなかったことができるようになる。単に2次元バーコードを読み取って、そこに3次元オブジェクトを貼り付けるだけでなく、フラクタルバーコードであれば、そのオブジェクトに至近距離で迫ることができ、建物であれば一部分だけをアップで見ることもできる。

sony03.jpg プレイステーション3用のカードゲーム「THE EYE OF JUDGEMENT」。約100種のカードに書かれたバーコードをカメラで読み取り、画面上でモンスターを合成。モンスター同士を戦わせることができる。USB接続のカメラ込みで9000円前後となるという。オンライン対戦も可能

(@IT 西村賢)

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