高速画像転送プロトコルも提供

Windows Vistaでシンクライアント、HPがブレードPC新製品

2007/06/14

 日本ヒューレット・パッカード(HP)は6月14日、クライアントPCをサーバに統合するブレードPCの新製品でWindows Vista Businessを搭載した「HP bc2000」を発売したと発表した。ユーザーのデータをサーバ側で一元管理するシンクライアントを実現する製品。

hp01.jpg HPのシンクライアント端末

 HPはさまざまなシンクライアントソリューションを用意しているが、その基本はエンドユーザーが利用する「表示部」(シンクライアント端末)と、アプリケーションを処理する「演算部」(ブレードPC、一般サーバなど)、ユーザーデータを格納する「記憶部」(ネットワークストレージ)の組み合わせ。ブレードPCでユーザーのアプリケーションを稼働し、エンドユーザーのシンクライアント端末に映像を配信するブレードPC方式のほか、クライアント環境ごとにサーバのリソースを仮想化し、アプリケーションの映像を配信する「仮想PC方式」、シトリックスのPresentation Serverに対応する「サーバ・ベース・コンピューティング」などがあり、「HPは全方式に対応する」という。

 HPが複数のシンクライアント方式をサポートするのは、ユーザーのニーズがそれだけ多様化しているからだ。ビジネスPCの代替として使うケースが当初は多かったが、Webブラウザだけが動作するWebアプリケーション端末や、セキュリティを確保しながら高いパフォーマンスが求められる金融トレーディング、CADによるエンジニアリングなどでも利用するケースが増えてきた。「シンクライアント市場は当初よりも利用形態が広がってきた」(日本HP パーソナルシステムズ事業統括 執行役員 マーケティング統括本部 統括本部長 松本光吉氏)。

hp02.jpg ブレードPC「HP bc2000」

 HP bc2000はサーバラックに格納するタイプのPC。AMD Athlon 64 2100+プロセッサを搭載。メモリは1GB。80GBのSATAハードディスクドライブを載せる。価格はHP bc2000が14万700円から。

Windows Vista Businessを標準搭載するが、XP ProfessionalのドライバもHPから提供され、1ラックの中で「VistaとXPを混在環境で利用することが可能」(HP)という。HP bc2000は1台のサーバラックに最大で280枚搭載できる。HPはデュアルコアCPUのAMD Athlon 64 X2 3000+プロセッサを搭載し、メモリを2GBにした「HP bc2500」も8月中旬に正式発表する。

 HPはこれまでブレードワークステーション向けに提供してきた画面転送プロトコル「HP Remote Graphics Software v5.0」(HP RGS)のブレードPCへの適用も始める。8月中旬に発表予定。HP RGSは大容量で高画質なグラフィックスをシンクライアントでスムーズに表示するためのプロトコル。現在はマイクロソフトのプロトコルである「Remote Desktop Protocol」が使われている。HPはほかにユーザーのセッションを管理する「HP Session Allocation Manager v2.0/v2.1」の提供も開始する。

(@IT 垣内郁栄)

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