新卒採用状況を調査

会社を3年で辞めるのは「学生の思い込み」が原因?

2007/06/28

 企業の人事業務をサポートするレジェンダ・コーポレーションは6月28日、2008年4月入社予定の新卒採用状況の調査結果を発表した。

gakusei01.jpg レジェンダ・コーポレーションの代表取締役社長 藤波達雄氏

 IT、人材、製造、金融、サービス、不動産・建設、流通・外食業界の計61社を調査した。調査結果によると2008年度は、企業にとって厳しい年だったようだ。採用目標を達成できた企業は28%。昨年の40%から12ポイント落ち込んだ。学生の内定承諾率の平均値は43%で、昨年から6ポイント低下した。

 企業規模(従業員数)と内定受諾率には強い相関は見られない。代表取締役社長の藤波達雄氏は「影響するのは、企業の規模よりも採用ブランド力や採用活動の優劣といった個別の努力」と説明した。また、業界によって内定受諾率は大きく異なり、トップは製造業の55%。次いで、その他サービス業が51%、IT業界は3位で45%だった。

完全に売り手市場

 学生の就職活動は完全に売り手市場だ。2008年4月入社予定の13万6210人の学生調査結果(有効回答数7167人)によると、学生が内定を受けた平均の社数は2.1社。2社以上の内定を持つ学生の割合は5割を超える。内定がまだ出ていない学生は全体で12%、理系男子学生においてはわずか2%に過ぎない。また、理系男子は企業へのエントリ数が36.2社なのに対し、文系女子学生は71.3社と、文系と理系では大きなかい離が見られた。文系学生は就職活動スタートのタイミングでは業界、業種、職種への絞込みができておらず、理系学生は最初からターゲット企業が決まっている傾向が垣間見える。

人間力重視で決定

 学生の就職活動に関する情報収集は、Webサイトからが85.6%。頻繁にアクセスするのは就職情報サイトである。インターネットで集めた情報を基に企業の説明会へ足を運び、ライブで聞いた「人の話」に共感した場合に、その企業が印象に残るという。最終的な決断の動機は、社風や魅力的な社員といった人間力が63%と高い。企業のブランド・イメージは7.9%で、入社の決め手にはなっていない。豪華な建物や、人事のカッコイイ話には学生は引かれない。面接官の印象や現場で働く社員をよく見ているようだ。社員から聞きたい話は「仕事内容」より、「会社の悪いところ」が27%で1位。本音を聞きたがっている傾向が強い。

 ただ、人間力を重視する傾向にある学生に対し、藤波氏は「学生は1社につき10人くらいしか会わない。最後は人で決めるとはいうものの、本当に社風を分かっているかといったら、実はかい離が大きい。それが3年で辞める人が3分の1といわれる理由ではないか。最後は人だといっても選考で会った人たちが、上司や仲間になるかといったらそれは別の話。学生は他社との相対比較で決めているだけ」と手厳しい。学生は、会社の規模より魅力的な社員を押し出す企業側の戦略に乗せられているともいえるだろう。

内定者フォローにSNS

 売り手市場の新卒採用現場において、学生をつなぎとめる人事担当者のフォローは欠かせない。藤波氏は昨今の新卒採用状況を「ニワトリと卵」に例えた。複数内定を取った学生が辞退するので人事は採用を続ける。すると1人の学生に時間がかけられない、その結果学生の辞退を招くという負のサイクルに陥っている。

 学生が就職を強く意識するタイミングは選考途中であるという。そのため、企業は、一次面接通過を伝える電話のときに、なぜ通過したのか、よかった点を挙げたり、二次面接の面接官にあらかじめ学生の情報を伝え、始めから口説きに行くケースがあるという。

 調査結果では、企業のブログやSNSは選考途中の迷いの解消や、情報源として有効との学生の回答が65%あった(内定者サイトを利用したいと答えた学生は77.6%)。加えて、いま企業で注目されているのが、人事担当者が内定者懇親会のイベント・レポートなどを行う内定者ブログや、社員とコミュニケーションが取れる社内SNS。現場社員の本音を聞きたいという学生の考えが反映されている。

ITエンジニアの新卒採用動向

 藤波氏によると、元請・下請がはっきり分かれているシステム開発業界では、元請側の大手企業が人気。倍率は大手と中小企業とで二極化しているという。社風や人間力を重視する学生の風潮とは異なり、SEを志望する学生にとっては企業の規模も重要であるようだ。

(@IT 荒井亜子)

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