ソネットがベンチャー企業2社設立

1枚の写真から3次元動画を生成する技術、モーションポートレート

2007/07/10

 ソニーグループで誕生した先端技術を基礎に、2社のベンチャー企業が事業を開始した。1社は、2次元の写真データを3次元の動画として生成する技術を武器に事業を行うモーションポートレート。もう1社は、Wi-Fi電波を使って位置を推定する技術を開発したクウジット。両社共にソネットキャピタルパートナーズA投資事業有限責任組合からの100%出資(モーション社は1億円、クウジットは2500万円)を受けており、ソネットエンタテインメントの連結子会社という位置付けである。

写真から3次元動画を生成

 モーションポートレート技術は、1枚の写真からビデオと同等の動画像を生成するもの。デジタルカメラで撮影した静止画像を5秒程度で3次元動画データに変換する。ビデオと違うのは、リアルタイムに描画され、インタラクティブに(動画を)操作できる点。顔の静止画のうち、目と鼻と口で人の顔であることを認識し、3次元画像を貼り付けて動画として生成する。自然に見える表情を生成するエンジンを組み込んでいる。自由に動かすことができるが、有効なのは(角度)20度程度まで(デモでは6度程度)。頭部の後ろ半分のデータは取得していないため。将来的には、頭部全体の3次元動画の描画を可能にするとしている。

モーションポートレート写真1 撮影したその場で3次元動画が生成
モーションポートレート写真2 イラストも3次元化可能
モーションポートレート写真3 エンジン自体は軽いので携帯電話でも軽快に動作するという

 店頭での販売促進ツール(眼鏡販売、髪型のシミュレーション、撮影シミュレーションなど)として同技術をサードベンダに提供していくほか、ビデオゲームや携帯電話用アプリケーション開発のためのミドルウェアとしての利用を想定している。そのほか、キャラクターを3次元化して販売するなどの事業を計画している。

ビルの何階にいるかも推定する

 クウジットが提供するサービスの中核技術「PlaceEngine」は、ソニーコンピュータサイエンス研究所が開発した。ワイヤレスLANの電波情報を用いて、現在位置を推定する技術である。GPSは衛星補足にある程度の時間が必要だが、PlaceEngineのWi-Fiスキャンは1秒以内に終了する。

PlaceEngine写真1 アクセスポイントの電波情報で位置を特定する

 同社によると、PlaceEngineは、ユーザー参加型の思想で設計された“ソーシャル位置情報基盤サービス”とのことで、ユーザーからの位置問い合わせや、位置登録が充実すれば、推定できるエリアや精度が成長する。アクセスポイントの位置とデータベースの充実度によって、ビルの階数も推定することが可能である。現在、PlaceEngineサーバが位置を推定するために利用するアクセスポイントのデータベースは50万件程度。国内17の政令都市部で利用できる。

PlaceEngine写真2 WiFi機器なら原理的に何にでも適用可能

 インターネットに常時接続している環境(PC環境)では、公開しているAPIを利用しながらサードベンダが独自のサービスを提供する。PSPなどのポータブルゲーム専用機やデジタルカメラ、携帯電話など、WiFi機器なら原理的に何にでも適用が可能である。

 当初はPlaceEngine技術やサービスの提供と技術コンサルティングを主な事業とする。位置情報を活用した広告配信事業の企画、運営も検討している。

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(@IT 谷古宇浩司)

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