従来の1/3から1/5の価格でシステム開発、スターロジック

要件定義カード1枚8万円──脱・人月商売宣言

2007/07/19

starlogic01.jpg 「1タスク8万円」という価格体系を提示し、人月商売からの脱却を宣言するスターロジック代表取締役兼CEO 羽生章洋氏

 「二度と人月商売はしません」──スターロジックは7月19日、都内で開催した自社イベント「StarLogic Conference2007」において、エンドユーザー自身による要件定義に基づき、「要件定義のカード1枚当たり8万円(税別)」という価格体系でシステム構築ビジネスを進めていくと発表した。従来の「人月」に基づく見積もりと比べて、1/3から1/5の価格になるという。

 「人月換算でコストを請求する商習慣こそが、SI業界のさまざまな問題の根源。人月から脱却するには、納得でき、分かりやすい価格体系を提示することだ」(スターロジック代表取締役兼CEO 羽生章洋氏)。

 低コストにできる理由は、ユーザー自ら要件定義を行い仕様を最初に明確にする点と、実装段階で自動生成により生産性を追求していることである。

 エンドユーザー自らによる要件定義には、同社が無償で公開する「マジカ!」を利用する。マジカ!は、イラスト入りのカードに業務内容を手書きで書き込んでいくことで、ユーザーの業務内容を「見える化」するツール。そして、このカードが価格体系の単位となる。マジカ!で定義した業務内容のうち、情報システムにかかわる「システムカード」1枚を、1タスクとして数える。価格体系を明確にできた理由は、マジカ!を活用した開発実績を積んだことで、カード1枚当たりのコストをかなりの精度で見積もれるようになったためである。

 一方、自動生成を取り入れた開発フレームワークは「beaf」と呼ぶ。スターロジックと、タワーズ・クエストが開発した。Javaで実装したオープンソース・ソフトウェア「Seasar2」や「Mayaa」などをベースとし、自動生成ツールとライブラリを組み合わせたものである。また、ユーザー・インタフェースを効率よく作成するため、HTMLモックアップを自動作成するツールも用意する。これらのソフトウェアは内部用として利用し、外販はしない。

 ただし、「カード1枚が8万円」に収まりきらない部分は発生する。複雑な画面や帳票、環境構築、旧システムからのデータ移行などは別途見積もりとなる。その上で、従来の人月による見積もりに比べて、1/3から1/5程度の価格になるという。

 「従来のシステム開発でコストがかかっていたのは、要件があいまいなために職人技で気配りをしていたため。要件が確定していれば余計な気配りは不要で、自動化の余地が多くなる」(羽生氏)。

 同社の取り組みは、SI業界の商習慣に挑戦している点、また生産性を高めることがSIベンダの利益に直結している点で興味深いものといえる。

(星暁雄=コモンズ・メディア)

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