2008年4月スタート
金融庁がEDINETで義務付けるXBRL、企業の対応は?
2007/08/01
金融庁は、上場企業などが財務報告を提出するWebサイト「EDINET」で2008年4月からXBRLによる報告を義務付ける。これまではHTMLによる提出だったが、XBRLを採用することでEDINETの閲覧者がデータの再入力を行うことなく、ツールを使って情報を柔軟に活用できるようになる。EDINETで情報開示している企業は会計・財務システムをXBRLに対応させる必要がある。対象となるのは国内の全上場企業、投資ファンドなどで膨大だ。
XBRL(Extensible Business Reporting Language)は財務報告用の情報を作成、利用できるよう標準化されたXMLベースの言語。財務報告のひな型であるであるタクソノミと、財務報告内容自体であるインスタンスの2つで構成する。金融庁は2008年4月にEDINETを新システムに移行させることを予定していて、同時に(連結)貸借対照表、(連結)損益計算書、(連結)株主資本等変動計算書、(連結)キャッシュ・フロー計算書については、XBRLでの報告を義務付ける。そのほかの書類については従来どおりHTMLで作成する。
EDINETタクソノミを公開
金融庁はEDINET用のタクソノミを開発し、公開している。このEDINETタクソノミは会計にかかる法令・規則と、企業の過去の開示実績から洗い出した約5万項目から選定。最終的には約4000項目の勘定科目、開示項目をEDINETタクソノミとして決定した。企業はこのEDINETタクソノミに合わせて自社の勘定科目を整理し、企業別タクソノミを作成する。
企業の財務報告の勘定科目は、その企業や業種によってばらつきがある。しかし、今後はEDINETタクソノミに統一することが基本的に求められる。ただ、対応する概念がEDINETタクソノミにない場合は、独自の勘定科目、開示項目を追加することを金融庁は認めている。
根本からシステム変更か
財務報告のXBRL対応については2つの問題が考えられる。1つは会計パッケージの問題。現在主流の会計パッケージはXBRL形式での出力に対応しているが、大手パッケージベンダ担当者によると「紙で出す仕組みのパッケージや手組みのシステムでは、XBRLに対応するために根本からシステムを変更する必要がある」。このようなパッケージやシステムを使っている企業は2008年4月までにXBRL対応を進める必要があり、コストがかかる。
もう1つはXBRL対応の会計パッケージを持つ企業にも関係する。それは自社の既存の勘定科目をEDINETタクソノミに合わせる必要があることだ。金融庁はEDINETタクソノミにない概念については企業が独自の勘定科目を残すことを認めているが、基本はEDINETタクソノミに準拠。場合によっては企業の会計・財務報告の仕組み自体から変更する必要があり、作業量とコストは膨大になる。
企業はどう動くのか。前述の大手パッケージベンダ担当者は「多くの企業はレポーティングの問題として捉えるだろう」と予測する。つまり、会計パッケージやシステムの勘定科目、開示項目は既存のまま残し、最後の出力時にEDINETタクソノミに合わせるという考えだ。この方法ならシステムの大規模な改修は不要で、比較的短期間で対応できる。ただ、財務報告のプロセスにおいて社内用開示項目とEDINET用開示項目の2つが存在することなり、内部統制上の問題になる可能性はある。
ジャストシステムが変換・出力ツール公開
XBRL関連ツールの市場も盛り上がりつつある。ジャストシステムは金融庁が行っている「EDINETパイロット・プログラム」に合わせて、EDINET対応XBRLで財務諸表を出力できるツール「xfy XBRL EDINET 対応版(試用版)」を無償で配布している。ジャストシステムによると7月9日の発表以降、「数百のダウンロードがある」という。ただ、同社はxfy XBRL EDINET 対応版をそのまま製品として出荷することは考えておらず、ほかのサーバ製品やサポートと組み合わせてソリューションとして提供することを計画している。
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