ティブコがBPM製品最新バージョンリリース

BPMは日本で認識され始め、これからブレークする

2007/08/03

 ティブコソフトウェアは7月20日、ビジネスプロセス管理ソフトウェアの最新バージョン「TIBCO iProcess Suite 10.6」(以下、iProcess 10.6)をリリースした。iProcess 10.6やBPMの現状について、米ティブコソフトウェア アジア太平洋地域・日本担当最高技術責任者 ダン・ターンズ(Daniel Ternes)氏に話を聞いた。

ターンズ氏写真 米ティブコソフトウェア アジア太平洋地域・日本担当最高技術責任者 ダン・ターンズ氏

 iProcess 10.6は、ビジネスアナリスト向け機能やSOA連携を強化したBPM製品。ビジネスアナリスト向けの機能では、モデル記述言語「BPMN(Business Process Modeling Notation) 1.0」や、XMLプロセス定義言語「XPDL(XML-based Process Definition Language) 2.0」を完全にサポートし、モデリング方法の改善を図った。

 この背景には、「従来のバージョンではビジネスアナリスト向け機能が弱かった。しかし、一般的には、まずビジネスアナリストがモデリングを行い、その後にしかるべきBPMを行う流れとなっているケースが多い。従ってビジネスアナリスト向け機能の強化は必須だった」(ターンズ氏)といった事情があるという。

 モデリング方法の改善では、事前に作成したものやお気に入り登録しておいたものを「プロセスパターン」として利用できるようにした。また、属性やリレーションシップを基にしたコンセプトモデリングを可能にした。ターンズ氏は、「以前のバージョンではデータモデルがフラットでヒエラルキー構造になっていなかったが、新バージョンの10.6ではUML(Unified Modeling Language)コンセプトを取り入れて、エンティティ(Entity:データのまとまり)や属性、リレーションシップの要素を盛り込んでいる。つまり、iProcess 10.6ではすでにパターン化されているものを簡単に利用できるようになり、シミュレーションやデザインがしやすくなっている」と説明した。

 また、データベースやWebサービスなどへの統合のためのプラグインや、サービス検出機能を追加するなど、開発者向けの機能も多数追加した。

 SOAとの連携強化の部分では、まず「TIBCO ESB(Enterprise Service Bus)ソフトウェア」や「TIBCO BusinessWorks」との連携を強化したほか、ティブコ以外のSOA製品との連携も可能となっている。アーキテクチャ面における改善点では、フェイルオーバーやエラーレポーティング機能の強化や、長時間の非同期サービスを搭載した。

 そのほかの改善点では、ユーザー行動のトラッキングを行い監査証跡を残すための機能を強化したほか、プラットフォームの追加として、Windows Server 2003 x64 R2やRed Hat AS/ES 4.0、HP-UX 11iのOSに対応。データベースではDB2 V9.1に新たに対応した。

 ターンズ氏はティブコのBPM戦略について、「当社にはBPMベンダとして経験と方法論の実績がある。すでに海外のBPM市場では、金融業や通信業、製造業、SCM分野で成功している。この市場は日本でも注力していきたい。また、BPMとSOAの連携にも力を入れていく」と説明。現在の日本におけるBPMの状況については、「BPMは20年以上前からあるものの、まだ成熟市場ではない。日本では“ようやくBPMが認識され始めた”という段階だろう。欧米では2007年の1番のトレンドはBPMだといわれているように、かなりホットな市場になってきた。日本でも金融業などの市場に注力するほか、セミナーなどを開催して教育・啓蒙活動を行っていきたい」と説明した。

(@IT 大津心)

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