HP Neoviewを統合先に

250のデータマートを1つに統合、HPが進める大プロジェクト

2007/08/16

 米ヒューレット・パッカードは財務やマーケティング、セールスなど部門別に分かれている約250のデータマートを今後1年半から2年で1つに統合する計画だ。統合先は4月に発表したビジネス・インテリジェンス(BI)プラットフォームサーバの「HP Neoview」。米HPのビジネス・インフォメーション・オプティマイゼーション ビジネス・インテリジェンス バイスプレジデント兼ゼネラル・マネジャのベン・C・バーンズ(Ben C. Barnes)氏は「HP社内のデータマート統合の経験を今後のビジネスに生かす」と話している。

hp01.jpg 米HPのバイスプレジデント兼ゼネラル・マネジャのベン・C・バーンズ氏

 世界各国でビジネス展開するHPは762のデータマートをかかえ、約5万人がアクセスしていた。しかし、部門別、アプリケーション別に分断されたデータマートの運用は高コストで、BIによる分析なども難しかった。バーンズ氏によると「ある大企業では1つのデータマートの運用に年間100万〜150万ドルのコストがかかっている」という。データマートを統合することは「かなりの節約になる」(同氏)のだ。

 HPは762のデータマートを約250まで削減し、さらにNeoviewで運営する1つのデータマートに統合する。同時に87カ所のデータセンターを3つに、5000のアプリケーションを1500に、2万9000台のサーバを1万4000台に統合するプロジェクトも進めている。

hp02.jpg HP アジアパシフィックのディレクタ ミシェル・ドーン氏

 Neoviewはデータベースとサーバ、ストレージを統合したプラットフォーム製品。HP NonStopの高信頼性をベースに、HP IntegrityサーバやHP ProLiantサーバ、HP StorageWorksの技術を組み合わせている。BIを稼働させるための専用プラットフォームの位置付けで、インフォマティカやSAS、コグノス、ビジネスオブジェクツなどのETLツール、BIツールを載せる。バーンズ氏は「Neoviewの特徴は高信頼性とプライスパフォーマンス。数百テラバイトのデータを瞬時に解析するリアルタイムBIを実現する」と話した。Neoviewは流通最大手の米ウォルマートが導入を決めていて、現在は検証している段階。バーンズ氏は「HP社内とウォルマートでの経験で、Neoviewに必要な機能が分かってくるだろう」と話した。

 Neoviewは国内での導入も決まった。導入したのは生損保のある1社で、既存のデータマートの統合に利用する。ほかに金融やテレコム、通販などの業種でNeoviewへの関心が強いという。HP アジアパシフィックのディレクタ ミシェル・ドーン(Michelle Dorn)氏は「HPはアジアパシフィックのBI市場として日本、オーストラリア、韓国を考えている。この3市場はBIについての理解度が進んでいて、導入も始まっている。ただ、まだ小規模だ。日本企業はこういうことをしたいというビジョンはしっかりしているが、技術が不足している」と話した。

(@IT 垣内郁栄)

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