マイクロソフトの強引なロビー活動に批判の声も

MS文書形式をISOが標準勧告見送り

2007/09/05

 Office 2007で採用されているマイクロソフトのオフィス文書フォーマット「OOXML」(Office Open XML)が、国際標準化団体ISO/IECで標準勧告とする議案が否決され、標準化は先送りとなった。ISO/IECが9月4日に発表したところによれば、9月2日までに行った各国代表による投票結果は投票権のあるメンバー41カ国のうち賛成が17、反対が15、棄権が9。

 承認のための条件は、(1)審査を行う担当技術委員会(ISO/IEC JTC 1/SC 34)に参加する投票権のあるメンバー国(41カ国)の賛成が3分の2(66.66%)以上あること、(2)投票権を持たないメンバー国も含めて反対が4分の1(25%)以下であること。今回は賛成53%(棄権9を除く32カ国中17カ国)、反対26%(69カ国中18カ国)で、いずれの条件も満たさなかった。

 正式には「ISO/IEC DIS 29500」と名付けられたOOXMLの標準草案は、別の国際標準化団体であるECMA(European Computer Manufacturers' Association:ヨーロッパ電子計算機工業会)から、すでに標準として12月に正式に勧告され、その後「fast-track手続き」と呼ばれるプロセスでISOに提出されていた。提出を受け、ISOの担当技術委員会の各国代表はOOXMLの国際標準規格としての技術的妥当性を約5カ月で個別に審議。9月2日までに「賛成」「コメント付き賛成」「反対」「コメント付き反対」「棄権」のいずれかを投票していた。

 今回の投票ではOOXMLを正式標準として勧告する議案は否決されたが、まだ標準化の可能性はある。来年初頭にスイスでの開催が予定されているバロット・レゾリューション・ミーティングでコメント付き反対を投じたメンバーは、草案修正の可能性などを検討して反対票を賛成票に転じることができる。最低5カ国が反対から賛成に回れば、2008年3月にはOOXMLがISO/IEC規格として勧告されることになる。

米マイクロソフトから声明文、さっそく批判の声も

 米マイクロソフトは、今回の投票結果を受けて即日、声明文を発表した。声明文のなかで、全体の74%に当たる51のISOメンバーがOOXMLに対してサポートを表明したことに非常に満足している、と述べている。ライバルのオフィス文書形式であるODF(Open Document Format)が32のメンバー、PDFが15のメンバーのサポートを受けたことと比較して、この結果は良好だとしている。

 この声明に対して批判者から声が上がっている(リンク)。74%というのは承認に対して影響のある投票権を持つ「Pメンバー」と、そうでない「Oメンバー」などほかのメンバーを区別しない場合の数字であり、Pメンバーだけで計算すると全体の41%(41カ国中17カ国)の賛同しか得られていないからだ。さらに、ODFの際には全会一致で32のメンバー全員が賛成しており、コメントもほとんど付かなかった。

 絶対数ではODFが32、OOXMLが51と、OOXMLのほうが支持者が多いように見えるが、背後にはマイクロソフトの強引なロビー活動があるとの批判が絶えない(リンク)。電子文書フォーマットの標準化などを行うJTC 1/SC 34のメンバー国の数は、もともと30カ国しかなかったが、今回の投票に向けた5カ月の間に、キプロス、ケニア、コートジボワール、トリニダード・ドバゴなどが加わりPメンバーの数が急速に増えた。新たにPメンバーとなった11カ国のうち9カ国は「賛成」または「コメント付き賛成」を投じた。各国の代表グループに参加するメンバーのリストを見ても、マイクロソフトのゴールドパートナーの企業からの代表が数多く名を連ねており、ISOの標準化プロセス自体に瑕疵があるのではないかという意見まで飛び出す波乱含みの投票プロセスとなっていた。

(@IT 西村賢)

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