デルやNECが開発を進行中

仮想化に最適化されたサーバ機とは?

2007/09/13

 ヴイエムウェアが米サンフランシスコで開催中のVMworldで発表した「VMware ESX Server 3i」は、仮想化ソフトウェアのサイズを32Mバイトに縮小させることで、仮想化組み込み型サーバ製品を実現するという。IBM、デル、ヒューレット・パッカード、富士通シーメンス、NECなどが順次こうしたサーバを提供開始すると発表している。

 サーバベンダはSDカードやUSBメモリなど何らかのフラッシュメモリデバイスにESX 3iのコードを入れ、このデバイスからブートするようにサーバのBIOSを設定して出荷する。つまり一般的なサーバでフラッシュメモリデバイスからの読み込みさえできれば、ESX 3iを動作させることができる。実際に、この形で「ESX 3i組み込みサーバ」とするベンダも登場するはずだ。

servers01.jpg デルのブースに置かれていた「仮想化に最適化された」未発表サーバ製品。中央の全面カバーがないものだが、外見ではまったく分からない。ブースで説明したあるスタッフは「R805」と呼んでいた

 一部のサーバベンダはメモリデバイスにESX 3i以外のソフトウェア、例えば軽量OSやVirtual Appliance(OS+アプリケーション)を格納し、このフラッシュメモリだけで、アプリケーションデータの格納を除くほとんどの機能を果たすような形にすることもあり得る。

 一般的なサーバを仮想化対応製品として出荷するだけでなく、仮想化への最適化を施した特別のサーバモデルを投入すると発表しているベンダもある。

 その1つがデルだ。9月11日にヴイエムウェアの社長兼CEO ダイアン・グリーン(Diane Greene)氏による基調講演ではデルの未発表のサーバを使って、電源オンから2分程度で仮想サーバの立ち上げが行えるという起動時間の短さを示すデモが行われた。このサーバはデルがESX 3iを動かすために提供する新モデル(グリーン氏はこの製品が「11月下旬に出る」と話した)。展示エリアのデル・ブースに置かれていた展示モデルでは、サーバのPCIスロットにライザーカードとしてSDカードのアダプタを装着。これを使ってESX 3iからの立ち上げを行う構成になっていた。ただし展示担当者は、出荷される製品は違った構成になる可能性があると話している。

 仮想化への最適化のポイントは、I/Oスロットを通常の2倍の4つ備え、さらにメモリカードスロットも通常の2倍の16個に増やしていること。また、AMDが発表したばかりのクアッドコアプロセッサを搭載している。展示担当者は現時点でAMDの最新プロセッサが備える仮想化支援機能がインテルのものよりも優れていることを指摘し、このCPUを選択したことも仮想化への最適化における重要な要素だと話した。

 VMworldにはNECもプラチナスポンサーとして参加、ESX 3i組み込みサーバの開発意向を表明した。ただし、発売時期や製品の構成については明らかにしていない。

 NECはまた、ストラタス・テクノロジーズと同社が共同で開発しているフォールトトレラントサーバにおけるVMwareへの対応を2008年以内に行うと発表した。2社によるサーバ製品は、ハードウェアを完全に二重化し、一方のハードウェアに障害が発生すると、OSやアプリケーションには気付かれないように自動的に切り替えることができる。同製品はハードウェアの二重構成をOSより上のレイヤから隠蔽(いんぺい)するためのファームウェアが搭載されているが、これまではWindows ServerとLinuxへの対応のみだった。このため、VMwareに対応したファームウェアを開発することでVMwareに対応するという。

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(@IT 三木泉)

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