戦略的バックアップストレージ製品を発表

2次ストレージで世界の10%を目指す、NEC

2007/09/19

nec01.jpg NEC 執行役員常務 丸山好一氏

 NECは9月19日、バックアップストレージの新製品「iStorage HS8」を11月26日に国内出荷開始すると発表した。北米では「HYDRAstor HS8」という名称で9月18日(米国時間)に先行発表した。同社 執行役員常務 丸山好一氏は新製品について「海外事業拡大のための戦略的商品。圧倒的な製品力で事業を拡大していきたい」と語った。

 iStorage HS8はNECが3月13日にストレージ事業拡大に関する記者説明を行った際に、第1弾製品として年内に発売するとしていたもの(記事へのリンク)。同社の北米研究所が開発した技術に基づいており、全世界で発売の予定。丸山氏は「2010年に2次ストレージの市場は86億ドル(9960億円)に達すると予想されている。高い目標だが、その10%の800〜900億円を目指したい」とした。

 iStorage HS8はバックアップストレージとしての経済性、拡張性、運用負荷の低さを特徴とする製品だ。頭脳としての機能を果たす「アクセラレータノード」と、ディスクドライブを収容し、データ格納機能を提供する「ストレージノード」を組み合わせてシステムを構成する。アクセラレータノードはNASプロトコル(NFSとCIFS)をサポート、バックアップサーバからのデータをネットワーク経由で受けて、必要な処理を行い、ストレージノードに送る。ストレージノードはそれぞれ1.7TBの記憶容量を備え、システムとしての最大構成時の容量は224TBだ。

nec02.jpg iStorage HS8

 同製品の最大の特徴の1つはデータ重複排除(de-dup)機能で、保存されるデータの重複する部分は1度だけ保存することにより、ディスクドライブの利用効率を上げる。NECでは一般的に20倍の利用効率を得られるとし、その場合iStorage HS8は最大構成で4.5PBの実効容量を実現できるという。

 もう1つの重要な特徴は自律構成機能。ストレージの容量拡張は、追加ストレージノードの物理的な接続を行ってから、このノードを既存ストレージプールに参加させる設定を行うだけで済む。Webベースの管理ツールと併せ、運用管理負担を大きく軽減する。

 新製品ではまた、RAIDとは別次元の独自開発による冗長データ分散配置機能で、重複排除機能利用時に求められる、より高度なデータ保護レベルを実現しているという。

 iStorage HS8では2008年第2四半期に「レプリケーション機能」を追加提供の予定。レプリケーション機能では、遠隔拠点に配置されたストレージに対し、メインデータセンターのiStorage HS8から重複排除機能を生かしたままでデータを複製することができる。重複排除によって転送データ量は大きく減少するため、拠点間の接続回線の帯域を狭く押さえることが可能。

 iStorage HS8の価格は、最小構成(アクセラレータノード×2、ストレージノード×2、基本制御ソフト、専用キャビネット)で2400万円(税抜き)。

 NECでは今後もハイエンドNASなどの新製品をストレージ市場に投入、ストレージ事業全体で今後3年間に1500億円の売り上げを見込んでいる。iStorage HSシリーズで、より小規模な企業向けのモデルも計画しているという。なお同社がEMCと共同開発している次世代ストレージについて丸山氏は「開発は終わっており、予定通りに出荷する」と語った。

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(@IT 三木泉)

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