IPA OSSセンターの2007年度の活動

IPAとThe Linux Foundationが相互協力協定締結

2007/10/01

 独立行政法人 情報処理推進機構(略称:IPA)は10月1日、オープンソースソフトウェアに関するいくつかの取り組みを発表した。

IPA写真 IPA 理事 占部浩一郎氏

 発表の1つ目は、The Linux Foundation(LF)との相互協力協定の締結。この協定で両者は技術開発、標準化活動の推進や、オープンソースソフトウェアについての啓蒙活動、法的課題の研究などを共同で行っていく。共同活動の第1弾は10月30日の「IPAフォーラム」の共催。

 2つ目は、IPAが権利を所有する日本語フォント「IPAフォント」の一般利用者への配布の開始。IPAは2003年末から同フォントを公開してきたが、利用対象はIPAが支援したプロジェクトに限られていた。10月1日から、一般利用者向けの使用許諾条件を定め、無償で提供する。最新の日本語文字コード規格「JIS X 0213」の文字をサポートしているのが特徴で、一般的な業務で必要とされるほとんどの漢字を網羅している。

 OSS環境ではフォントが十分に提供されず、日本語の表示や印刷で不具合が生じるケースがあった。また、異なるOS上で作成した文書を交換する場合の互換性にも問題があった。IPAフォントは、環境を問わない共通の日本語基盤として、無償で自由に利用できることを目的に開発された。

 3つ目は「自治体におけるオープンソースソフトウェア活用に向けての導入実証」の開始。5つの実証事業を開始する。実施期間は2008年2月まで。

 島根県松江市とテクノプロジェクトによる「Rubyの普及を目指した自治体基幹業務システム構築」や、宮崎県延岡市と宮崎県ソフトウェアセンターによる「宮崎県延岡市における入札管理業務のOSS導入実証実験」など、5つのOSS関連事業を採択した。

 IPAでは2005年と2006年にも、自治体をはじめとした公的組織のIT基盤をOSSで構築する導入プロジェクトを進めてきた。これらの経験を通じて、OSSをIT基盤全体に適用するうえでの3つの課題を抽出した。

 人名漢字を扱うための外字を含む文字コードへの対応やセキュリティの確保、レガシーソフトウェアの代替など、既存システムとの安全な連携が1つ目の課題。2つ目は、総務省が3月に公表し、7月に適用を開始した「情報システムに係る政府調達の基本指針」を満たすシステム構築の実践。3つ目は、OOSを活用したシステムへの移行コスト、運用コストの可視化。

 今回採択した5つのプロジェクトでは、これら3つの課題の解決を目的としている。実証実験終了後は、オープンソースとして公開する予定。

(@IT 谷古宇浩司)

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