「TOYOTA EA」で全体最適

トヨタの“無理難題”が鍛え上げた「Oracle 11g」出荷

2007/10/23

 日本オラクルは10月23日、データベース製品の最新版「Oracle Database 11g」を出荷開始した。同日開催したイベントではトヨタ自動車のITマネジメント部 システムデザイン室 室長の加藤雅章氏が講演し、米オラクルの11gの開発に改善要求を出すなど協力したことを明かした。米オラクルのオラクル・サーバー技術担当 シニア・バイスプレジデント アンドリュー・メンデルソン(Andrew Mendelsohn)氏は「11gにはトヨタをはじめとする日本企業の要望も入っている」と説明した。

oracle01.jpg トヨタ自動車のITマネジメント部 システムデザイン室 室長の加藤雅章氏

 加藤氏によるとトヨタは2005年からオラクルに接触。開発中の11gに対して改善の要望を出した。自社で使うシステムの効率性をより高めるにはOracle Databaseの基本性能の向上が不可欠と判断した。

 要望は3つ。SQLの基本性能向上とアプリケーション開発の効率性向上のための“見える化”の実現、アプリケーションサーバの他社製品との親和性向上だ。加藤氏は10gのSQL性能についてトヨタでの検証を基に、「静的な性能は競合よりもよくなかった。メインフレームからオープンに移行した場合、同じ性能を維持する上でハンディキャップがあると指摘した」という。

 トヨタは2004年から「TOYOTA EA」の名称でITの全体最適を進めている。作業の標準化、道具の標準化、人材育成が柱。道具の標準化では共通フレームワークを構築した。共通フレームワークとはハードウェアやOS、ミドルウェアの上で稼働し、これらのインフラ部分に変化があっても、上部のアプリケーションやビジネスプロセスに影響を与えないようにするプラットフォーム部分。「ハードやOSは数年で次の製品に切り替わるが、ビジネスのライフサイクルはもっと長く、特に基幹の業務はより長期間になる。トヨタでは部品表を30年使う。しかし、いまのオープン技術は30年使えるのか?」(加藤氏)。

 共通フレームワークはITインフラと、ビジネスや基幹業務とのライフサイクルの違いを吸収し、一方の変化が他方に波及しないようにする役割がある。加えてシステムの品質を均質化する効果や、ベンダの囲い込みから脱却を図るなどの狙いもある。Oracle Databaseはこの共通フレームワークを有効に働かせるために欠かせないコンポーネントなのだ。

 要望を受けて開発された11gについて加藤氏は「あくまでトヨタ流にこだわって改善要望を出したが、11gでは十分に対応してもらった」と評価。「性能も競合に追いつき、機能もテストの生産性が上がることを確かめた。オラクルは(トヨタの)無理難題を真摯に聞き、11gに盛り込んでくれた」と話した。

 トヨタが今後検討するのはOracle Databaseをオフィス業務から生産物流現場の基幹業務に適用することだ。いわばトヨタ生産方式(用語解説)のコア部分にオープン系のデータベースが入り込むことになる。加藤氏はOracle Databaseをトヨタの基幹業務に導入するには、さらなる可用性の向上やデータ量増量への対応、セキュリティの向上などが求められると指摘した。

(@IT 垣内郁栄)

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