企業のニーズとシーズには「ギャップ」が

まだまだ足りないオープンソースソフト技術者

2007/10/29

 情報処理推進機構(IPA)は10月26日、オープンソースソフトウェア(OSS)に関してどの程度のスキルが求められており、一方教育・研修機関ではどういった技術教育が提供されているかを調べた「OSS技術教育のためのモデルカリキュラムに関する調査」の結果を明らかにした。その結果、企業側のOSS技術に対する「ニーズ」と実際の「シーズ」との間にギャップが存在することが明らかになったという。

 この調査のうち「OSSスキルのニーズ調査」は、2007年4月に実施された。ユーザー企業1500社とシステムインテグレータ事業者など1350社が対象で、回答数はそれぞれ214社、329社だった。

ipaoss01.jpg IPA OSSセンター長の田代秀一氏

 これによると、ユーザー企業のうち約38%、SI事業者のうち約49%は、自社システムでOSSを利用している。またIPAが実施したほかの調査では、OSSを利用したいという需要のある企業は全体の50%を超えたという。

 にもかかわらず、OSS技術者の数は足りていない。IPA OSSセンター次長の杉原井康男氏によると、国内のIT技術者約48万人のうち、OSSを使いこなすスキルを持っているのは2割程度の約9万3000人にとどまっているという。特に、学習によって比較的習得可能なプログラミング分野よりも、暗号化や開発ツール、RDBシステム管理といった分野で、企業ニーズと実際とのギャップが大きいという結果になった。

 杉原井氏は、多くのスキルが業務上の必要に迫られてのOJTや自己研鑽に頼っている現状を踏まえ、「実務上必要なものについては、仕事をしながら身につけることができる。問題は暗号化や開発といった分野で、こうした部分ではもっと体系だった教育が必要だ」と述べた。

 一連の調査では、国内の教育機関/研修期間によるOSS技術教育の現状に加え、中国・韓国におけるOSS技術教育状況についても調べた。技術教育のレベルではそれほど大きな違いはないというが、問題はその「量」だ。

 IT技術者全体で見ても、日本の電気通信工学関連の学科卒業者数は約4万1000人。これに対し韓国では工学系の卒業者が年に約7万3000人、中国では約47万人に上る。そしてそのうちかなりの割合が、幅広い分野のOSSスキル教育を受けているという。

 こう考えると「日本においてはOSS教育の裾野が狭い。またスキルレベルもITSS(ITスキル標準)のレベル2に達していないところがある」(杉原井氏)。これを踏まえてIPAでは、OSS技術者の加速的な育成を目的に、ITSSに基づいたモデルカリキュラムとコースウェアをまとめ、公開している。

 ただ、OSSセンター長の田代秀一氏は同時に「人材育成は、教育カリキュラムだけあってもうまくいくわけではない」と指摘。OSS技術者の必要性を理解し、それに応じた処遇を提供するなど、総合的な施策が必要であると述べた。また、情報処理技術者試験にOSSに関連した項目を含めることも検討しているという。

(@IT 高橋睦美)

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