WIDEとJPRSがDNSサーバを増強
迷惑メール対策などでJPドメインのクエリが急増
2007/12/04
WIDEプロジェクトと日本レジストリサービス(JPRS)は12月4日、WIDEプロジェクトが運用するDNSサーバ“e.dns.jp”の増強を行ったことを発表した。e.dns.jpは、a、b、d、e、fと5つあるJPドメイン名のDNSサーバ(JP DNSサーバ)のうちの1つ。今回の増強では、IPv6とIPv4両面でのIP Anycast技術(複数のホストに同一のIPアドレスを割り当て、経路制御で負荷分散を図る技術)を導入。また、サーバの海外拠点としてサンフランシスコとパリが追加された。
DNSサーバに対する負荷は増加の一途をたどっている。先日のInternet Week 2007におけるJPRS 松浦孝康氏の報告によれば、2004年4月から2007年の前半までの3年間に、JP DNSへの問い合わせ数が2.5倍から3倍近くに増加しているとのことだ。
わずか3年でおよそ3倍という大きな増加を示した背景には、インターネットそのものの拡大とともに、DNSを利用する新たなアプリケーションの出現、例えば、迷惑メール対策を行う際に重要となるSPF(Sender Policy Framwork)やDKIM(DomainKeys Identified Mail)といった、DNSによりホスト名やIPアドレス以外の管理を行う仕組みが利用されるようになってきたことが大きな理由として挙げられるだろう。
近年のこのようなDNSに対する要求の増加は、DNSがインターネット全体で利用可能な、事実上唯一のデータベースシステムであることが大きく影響していると考えられる。そして、この傾向は現在の状況が変わらない限り、今後も続くと考えられている。ルートサーバやTLDサーバといったインターネットの根幹を担う重要なDNSサーバの強化は、今やインターネットにおいて重要な問題の1つとなっているのである。
JPドメイン名によるインターネットアクセスを可能にするJP DNSの増強は、こうした社会的な要請に応えるものだ。
IP Anycast技術の導入による具体的な効果は、松浦氏の発表資料の中にも示されている(下記の図)。これは、2007年にJPRSが管理するa.dns.jpにおいてIP Anycastの運用実験を行った結果だが、実際のインターネットにおいてIP Anycast拠点を追加した場合にDNSトラフィックがどのように変化するかを視覚的に確認することができる。
このように、IP AnycastはDNSの負荷分散に有効だ。また、IP Anycastでは基本的に発信元からネットワーク的に最も近いサーバが優先的に使用されることから、DNSサーバの応答速度の向上も期待できる。
JPRSは、さらなるJP DNSの安定運用のために、今後とも海外拠点および全体拠点数を増やしていく予定という。
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