SAP、使いたい機能だけを選んで使えるERP用拡張機能現時点で次のバージョンのリリースは白紙状態

» 2008年03月06日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 SAPジャパンは3月6日、同社のERPソフト「SAP ERP 6.0」の機能を拡張できるエンハンストパッケージの第3弾を発表した。第2四半期から提供を開始する。ERP 6.0の既存ユーザーは無償で利用できる。

 まず、同社は改めてERP 6.0のリリース方針を説明。SAP R/3といった従来の同社ERP製品では、バージョンアップのたびにアプリケーションプラットフォームから機能、ユーザーインターフェイスまですべての機能が新しく変わっていたため、導入規模が大きく、そのため事前テストも膨大な量になっていた。

 SAPジャパン カスタマーイノベーションセンター ビジネスアプリケーション マネージャー 松村浩史氏は、「ユーザーは、すべての機能をリニューアルするか、何もしないかのどちらかしか選択肢がなかった。もし、新バージョンに使いたい機能があっても導入面から二の足を踏むことも多かった。企業によっては、一度導入したら5年間はいじらず、変更するとしても土曜日1日で終えなければならないといった非常に厳しい状況だった。これでは昨今の経営スピードについていけない」と、従来製品の問題点を指摘した。

松村氏写真 SAPジャパン カスタマーイノベーションセンター ビジネスアプリケーション マネージャー 松村浩史氏

 このことから、同社ではERP 6.0よりリリース方針を変更。エンハンストパッケージという新機能を導入することで、コア部分の変更はせずに必要な機能を必要なだけ選んで導入できるリリース方針に変更した。エンハンストパッケージとは、ERP 6.0向けのさまざまな新機能や新しいUI、業界特化型の拡張機能などを集めたパッケージで、ユーザーはその中から必要な機能だけをインストール・利用することができる。ERP 6.0のコア部分を変更せずに必要な機能だけをインストール&有効化するので、テストを大幅に軽減できるとしている。

 例えば、インターネット上で人材募集する「eリクルーティング」という機能を導入したい場合、eリクルーティング用のユーザーインターフェイスと機能を選択・インストールし、検証後に有効化するだけで利用できる。同社では、各機能ごとに必要になるだろうと想定されるテスト項目をテンプレート化し、「テストケーステンプレート」として提供するのでテスト負担をさらに軽減できるとした。

 エンハンストパッケージでは、「財務会計」や「販売・サービス」といった業界共通の機能や、「防衛・セキュリティ」「保険」などの金融・公共部門向け、「食品・消費財」「石油・ガス」などの製造・サービス業界向けの機能テンプレートを用意している。なお、今回発表されたエンハンストパッケージは第3弾のものだが、これには第1弾、第2弾でリリースされた機能も含まれる。

 松村氏は、「今回のERP 6.0のエンハンストパッケージだが、2008年中には当社のCRMやSRM、PLM、SCMの各製品に関してもエンハンストパッケージをリリースしていき、ERP 6.0のリリース方針と整合性を取っていきたい。このエンハンストパッケージ形式で新機能を提供することで、これまでよりも長いスパンで製品を提供できるようになる。ERP 6.0も最低でも2013年までは通常のサポートをする予定だ。従って、現時点で次のバージョンの状況は全くの白紙状態となっている」と説明した。

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