「SCM専門ベンダへのニーズは高い」、米マンハッタン新戦略発表

» 2008年03月14日 00時00分 公開
[内野宏信,@IT]

 マンハッタン・アソシエイツは3月14日、今年1月に米国本社が公開したSCMソリューションの新コンセプト「SCOPE」(Supply Chain Optimization thru Planning and Execution)に基づく2008年の事業戦略を発表した。

 流通・小売、アパレル、物流・3PL、ハイテク分野をメインターゲットに、SCMに必要なアプリケーションを網羅した「Xスイート ソリューション」の販売活動を実施。2010年までに成長率35%を目指す。

 同社は昨年、売り上げ3億3700万ドル、収益5000万ドルを記録し、連年実績を伸ばし続けている。またSCMソリューションのマーケットシェアではSAP、オラクル、インフォア、i2テクノロジーズといった強豪ベンダと分け合う形となっている。

マンハッタン・アソシエイツのシニアヴァイスプレジデント アジアパシフィックオペレーションズのジェフ・バウム氏

 シニアヴァイスプレジデント アジアパシフィックオペレーションズのジェフ・バウム(Jeff Baum)氏は、「SCM分野で堅調に実績を伸ばしているのは、マイクロソフトと弊社のみ。競合ベンダもERP分野の会社が中心だ。大規模かつ複雑化したサプライチェーンを戦略的に運用するうえで、SCM専門のベンダから製品を購入したいというニーズは確実に高まっている。その点、1990年以来、17年にわたってサプライチェーン最適化に特化してきた弊社には大きな強みがある」と解説した。

 また、昨年は4600万ドルをソリューション研究・開発に投資。研究スタッフも大幅に増員したほか、SCMのトップ企業であるデル、ウォルマートなどに導入実績があることを挙げ、「スペシャリストして、エンド・トゥ・エンドのサプライチェーン最適化を支援していく」と力説した。SCOPE(Supply Chain Optimization thru Planning and Execution)」とは、そうした考えを具現化した製品コンセプトだ。

マンハッタン・アソシエイツの製品構成

 SCMはコスト削減を目的とした第1フェーズから、売り上げへの貢献を主眼とした戦術的運用フェーズ、さらにサプライチェーン可視化のトレンドを経て、現在は実績を直接的に支える戦略的運用のフェーズに入っている。

 同社では、2004年にリリースしたIBM AS400上で稼働する倉庫管理システム「WM for iシリーズ」をはじめ、Windows対応の「WM for Windows」、オープンプラットフォーム対応の「WM for Open System」、さらに2006年には輸送管理ソリューション「Trading Partner Management」を発表するなど、企業戦略、IT基盤の進展に合わせて、さまざまな製品を提供してきた。今後はそうした製品群を、製品コンセプト「SCOPE」に基づいて改めて整理し、「Xスイート ソリューション」として提供していく。

 具体的には、「流通管理」「輸配送ライフサイクル管理」「オーダーライフサイクル管理」「在庫最適化」「計画・予測」と、サプライチェーン運用の各プロセスに必要な機能を備えた5つのモジュールを用意。またサプライチェーン全プロセスにかかわる「イベント管理」「可視化」「インテリジェンス」機能も揃える。

 ジェフ氏は「全て同一のプラットフォーム上で稼働するのはもちろん、必要なモジュールを選んで導入することも可能。戦略的なサプライチェーン運用を効率的に支援する」と解説した。

 一方、日本法人の代表取締役社長 アーノルド・コンセンコ(Arnold Consengco)氏は、オーストラリアの大手流通・小売企業COLESへの導入事例を紹介した。

 同社は「Xスイート ソリューション」のうち、「流通管理」、「輸配送ライフサイクル管理」、またサプライチェーンの「ビジビリティ」「インテリジェンス」「イベント管理」、以上5つのモジュールを導入。移送中在庫も含めたリアルタイムな在庫可視化や、在庫数が計画値を下回ると自動的に警告を発するイベント管理機能などにより、サプライチェーンのコントロール性を向上させた。

 また、サプライヤ、倉庫、店舗間での情報連携をはじめ、トラックの到着時間と出発時間をシンクロさせた無駄のない入出庫計画、明確なKPIに基づいた倉庫作業管理などを実現。この結果、常時ほぼ欠品のない98.5%の店頭棚陳列率を達成したという。サプライヤへの在庫オーダー自動化、倉庫の統合も果たし、業務効率向上、コスト削減に貢献した。

 アーノルド氏は「小売業は扱う製品量が多いうえ、需要変化の波も激しい。これに対応するためには、SCMソリューションにも革新性のあるものが求められる。SCMの戦略的運用が重視されている今、弊社ソリューションはイノベーションを実現できると確信している」と力説した。ジェフ氏も「弊社はグローバルでも流通・小売分野の顧客が大きな割合を占めている。今後も日本、中国を重点市場と認識し、積極的にXスイート ソリューションをアピールしていきたい」と語った。

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