ビル・ゲイツ氏が示唆

Vistaに見切りをつけたMS、「Windows 7」登場は来年か

2008/04/07

 Vistaは死んだ。

 4月4日にマイアミで開催された企業の慈善活動に関するセミナーでビル・ゲイツ氏がそう言ったわけではないが、同氏の発言はそれに近いと言えなくもない。ロイターの報道によると、ゲイツ氏が実際に言ったのは、Windowsの次期デスクトップバージョンである「Windows 7」(開発コード名)が「来年ごろ」にリリースされる見込みだということだ。

 さようならVista。君と会えて楽しくなかったよ。

 わたしは1月の時点で、マイクロソフトがVistaを見限るだろうと予想した。どうやらわたしの予想は正しかったようだ。Vistaが登場したとき、マイクロソフトの上級幹部でさえもそれを嫌っていたのだから、ほかの人が好きになるのを期待する方が無理というものだ。

 Vista SP1は痛ましいアップグレードとなり、そのパフォーマンスは依然としてXP SP2(そしてまだリリースされていないXP SP3)を下回っている。さらに悪いことに、あるマイクロソフト幹部によると、Windowsは実際にMac OS XおよびLinuxにデスクトップ市場のシェアを奪われつつあるという。マイクロソフトはこれまで、デスクトップ市場のシェアを失ったことは一度もない。しかしVistaでは、マイクロソフトは初めて顧客を失っているのだ。

 マイクロソフトは早くから不吉な前兆を予感していたのだろう。同社は既に2007年7月の段階でWindows 7の宣伝をし始めた。マイクロソフトのビジネスプランは一貫して、顧客を次期版にアップグレードさせることである。彼らはそうやって何十億ドルも稼いできたのだ。しかし今回の場合、Vistaが登場したばかりの段階で次期版の話が出てきたのである。

 マイクロソフトは本当に、顧客を引き付けるようなWindows 7を2009年に出荷することができるのだろうか。Vistaは何度も出荷が延期されたことで不評を買った。Windows 7は、失敗したVistaをリプレースするのみならず、XPよりも優れていることをマイクロソフトの顧客に納得させなければならないのだ。

 これは簡単なことではない。マイクロソフトがUMPC(Ultra Mobile PC)という形でXP Homeを延命させたことも、それを物語っているのではないだろうか。しかし、マイクロソフトは顧客を満足させるカードも隠し持っているのではないかと思う。それは2009年に登場するかもしれない。「Server 2008 Workstation」である。

 Vistaとは対照的に、Windows Server 2008はeWEEKラボでのテスト、そしてLinuxが主に配備されているわたしのオフィスで非常に素晴らしい製品であることが示された。セキュリティ面で多少の問題を抱えてはいるものの、Windows Server 2008はVistaおよびWindows Server 2003よりもはるかに優れている。

Aeroの使い勝手と速度を改善すべき

 つまり、マイクロソフトにはWindows Server 2008のカーネルをWindows 7のコアとして利用するという手があるのだ。その上に、使い勝手と速度を改善したAero Glassインタフェース、そしてSilverlightとInternet Explorer 8を載せればいいのだ。同時に、マイクロソフトはVistaのユーザーインタフェースのコマンド構造を捨て去り、XP方式に戻るべきだ。

 人々がVistaを好きになれない理由の1つは、XPより遅いというだけでなく、基本的な操作を新たに覚えなければならないということだ。 マイクロソフトはまだ執着しているようだが、ユーザーがプログラムをインストールする際に確認を求める質問に延々と答えなければならないといった煩わしい「Vista流」も捨てるべきだ。

 また、Vista SP1でも解決されていないソフトウェア互換性問題がWindows 7では起きないようにするために、マイクロソフトはXP互換性レイヤを追加する必要がある。これは、Windows Server 2008の仮想化技術であるHyper-V上で動作するXP VM(仮想マシン)のような形で実現できるだろう。そうすれば、アプリケーションがWindows Server 2008コアにネイティブに対応していなくても大丈夫だ。そういったアプリケーションは自動的にXP VM内で動作するようにすればいいのだ。

 古くからのWindowsユーザーであれば、マイクロソフトが同じようなアプローチを利用したのを覚えているかもしれない。Windows NT 3.5でWOW(Windows on Windows)というサブシステムを使って、ユーザーがNT上でWindows 95アプリケーションを実行できるようにしたのだ。

 マイクロソフトがこの方式を採用するのであれば、ユーザーが本当に使いたいと思うような新しいデスクトップOSを2009年までに提供できるに違いない。しかし彼らがVistaでそうしたように、新しいデスクトップOSを一から作り直そうとするのであれば、ユーザーが使ってみたいと思うようなものを2011年までに提供するのは絶対に不可能だ。

 そのころには、XPユーザーにアップグレードを促すことではなく、LinuxとMac OSユーザーがWindowsの世界に戻るのを促すことがマイクロソフトの課題になっているかもしれない。

原文へのリンク

(eWEEK Steven J. Vaughan-Nichols)

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