アイログ、グリーンITを支援するサプライチェーン製品オラクルやSAPが弱い食品・飲料市場に注力

» 2008年04月11日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 アイログは4月11日、製造や流通業向けにサプライチェーンアプリケーション事業を開始すると発表した。これにあわせて、同社が2007年に買収したLogicTools社製品などの販売を開始する。

 アイログのサプライチェーン商品は、サプライチェーンネットワーク計画の支援をする「ILOG LogicNet Plus XE」、在庫を最適化する「ILOG Inventory Analyst」、工場の生産計画をサポートする「ILOG Plant PowerOps」の3製品で主に構成する。これらの製品は、同社が2007年に買収したLogicTools社の製品がメインとなっている。

 仏アイログ 会長兼CEO ピエール・ハーレン(Pierre Haren)氏は、「当社のサプライチェーンソフトのターゲットは、サプライチェーンアナリストやプランナーなどのいわゆるビジネスプロフェッショナルたちだ。サプライチェーンを最適化することで、意思決定を支援したい。現在、当社はサプライチェーン市場ですでに1000万ドル規模のビジネスをしており、食料や飲料企業など、オラクルやSAPがあまり入り込んでいない市場でシェアを伸ばしている」と説明した。

ハーレン氏写真 仏アイログ 会長兼CEO ピエール・ハーレン氏

 新製品のILOG LogicNet Plus XEは、戦略的にサプライチェーンネットワークの計画立案を行うユーザー向けに開発した製品で、サプライチェーンの物理的な規模を判断したり、倉庫や工場のラインの数や場所、規模などを最適化するのに役立つという。現在200社以上の企業が組み立て製造、食品飲料、プロセス生産向上などで利用しているとした。ハーレン氏は、「企業のM&Aなどを行った際に、工場などを統合する必要があるが、そのようなときに非常に役立つソフトウェアだ」と説明した。

 ILOG Inventory Analystは、既存のERPやAPS(Advanced planning and scheduling)ソリューションとリンクさせて在庫を最適化するソリューション。アプリケーション間で自動化された双方向データフローを作成するほか、グローバルとローカルの在庫ポリシーを取り入れるため、業務フローとデータフローを統合できるとしている。SAP R/3と連携することでSAPへ毎月データをフィードバックできるなど、ERPとの連携も強化されている。

 ILOG Plant PowerOpsは、生産向上向けにプランニングとスケジューリングを統合したソリューション。乳製品やビールなどFMCG(Fast Moving Consumer Goods)や医薬品、化学品など業界別に特化した利用が可能な点が特徴だ。

 日本市場においては、主に鉄鋼や自動車、飲料、化学、製薬業界などを対象に展開。特にアジアに生産工場を展開する自動車やハイテク産業に注力していきたいという。アイログ 代表取締役 ゼネラルマネージャー 和多田茂氏は、「日系企業は、アジアグローバルにおいて第一段階のSCMの構築が終了し、現在再構築フェイズに入っている企業が多い。そのようなSCMの見直しを始めている企業に特に売り込みを掛けたい」と抱負を語った。

 また、同社ではILOG LogicNet Plus XE向けにサプライチェーンの見直しによってCO2削減を目指す「LogicNet Plus Carbon Footprint Module」を発売。このモジュールを組み込むことで、SCMにおけるCO2削減プランを計画することができるという。「例えば、コストを×%上がることを許容するなら、CO2は×%削減できるといったSCM構築も可能だ。費用対効果が分かりやすいので、グリーンITに取り組む企業には貴重なソフトウェアになるだろう」(和多田氏)とコメントした。

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