帳票規格をXMLで統一しオープンソース化も

帳票ベンダ大手2社がSaaS分野でサプライズ提携

2008/04/15

 帳票ベンダのウイングアーク テクノロジーズは4月15日、同じく帳票ベンダである日本オプロと帳票のSaaS提供で提携すると発表した。「帳票SaaS」の名の下に、帳票のデザイン情報などを記述するXML拡張の「ChohyoML」という統一規格を使って、Salesforce.comやNetSuiteなどのSaaSプラットフォーム上に両社の統一帳票出力基盤を提供する。

 ウイングアーク テクノロジーズ 代表取締役社長 内野弘幸氏は「日本オプロと提携して安心・安全な統一インターフェイス(ChohyoML)を提供することによって、帳票SaaS市場を活性化し中国・欧米など海外展開も行う予定だ。帳票の新しい時代が始まろうとしている」と宣言した。「いままでウイングアークは大中規模のいわゆるエンタープライズ向けの基幹/Web帳票に注力してきたが、帳票SaaSを推進することによって、中小規模の案件にも帳票の『基盤』をよりいっそう提供できることになる」(内野氏)という。

wingarc01.jpg 握手をする日本オプロ 代表取締役社長 里見一典氏(左)とウイングアーク テクノロジーズ 代表取締役社長 内野弘幸氏(右)

 従来、ウイングアークと日本オプロは競合関係にあった。帳票をデザイン/作成し、さらに印刷するまでの管理までを行う帳票開発ツールの分野においてシェアを争っていたが、お互いの得意分野は異なっていた。ウイングアークは大量印刷・複雑な専用帳票を主に国内市場に展開し、日本オプロは少量印刷・単純な汎用帳票を主に海外展開していたが、両社の得意分野を補完し帳票マーケットの活性化を図るということだ。

 ウイングアーク テクノロジーズ 事業統括本部 SaaS推進室室長 岩本幸男氏は「帳票SaaS」の今後について次のように述べた。

「ビジネスの本質とは『情報の交換』で、そのノウハウは情報交換のインターフェイス、つまり帳票に集約される。ビジネスフローは単一企業の単一サービスだけでは完結せず、企業における業務の流れは帳票の流れによって支えられているといえる。SaaSの落とし穴である入出力の効率化を補完できる“帳票”を抜きにSaaS利用を検討することはできず、SaaS環境で帳票はますます重要になってくるだろう」

wingarc02.jpg ウイングアーク テクノロジーズ 事業統括本部 SaaS推進室室長 岩本幸男氏

 また岩本氏によると、「ウイングアークはSaaSベンダとの連携に加えて、今後は『帳票SaaS』によるマッシュアップとして、基盤ベンダとのSaaSプラットフォーム連携、グループウェアベンダとのB2E連携も押し進めていく」という。さらに、いずれは日本オプロとの統一規格であるChohyoMLをオープンソース化し、ほかの帳票ベンダと連携することも視野に入れている。

 ウイングアークはほかにも、今期リリース予定のプロダクトをいくつか発表した。今期は従来のRDE(Report Director Enterprise)やSVF Connect Suite、Java連携モジュールの新バージョンに加えて、「SVF for Microsoft Dynamics AX」や.NET連携モジュールの新バージョンを発表予定であるなど、開発者が増えてきた.NETとの連携を強化していく方針もあるという。

(@IT 平田修)

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