グリーンITのトレンドは、2000年問題やSOX法並みのインパクトITによるCO2削減効果は全体の約30%〜アクセンチュア試算

» 2008年04月23日 00時00分 公開
[大津心,@IT]

 アクセンチュアは4月23日、報道関係者向けの説明会を開催。同社として「経営視点でのグリーンIT」を推進していくことを発表した。アクセンチュア 代表取締役副社長 武田安正氏は、「いよいよ2008年から京都議定書の実施年度に突入し、CO2削減のプレッシャーが企業に押し寄せてきている。グリーンITの観点では、現在はデータセンターの省電力化が注目されているが、CIOや経営者の視点からもグリーンITを検討する段階が始まっている。当社では、それをサポートしていきたい」と語り、グリーンITビジネスへの参入を表明した。

 アクセンチュア グリーンITサービス グローバル統括パートナー ステファン・ナン(Stephen Nunn)氏によると、「欧米企業のCIOは、毎年ITコストを3〜4%削減しなければならないプレッシャーに潰されそうになっている。従って、IT運用コストを削減できるグリーンITへの関心は高い」という。同氏によると、一般的な企業のIT支出は「保守」が65%、「更新」が25%で、「新規投資」は10%しかないという。この65%を占める運用コストを削減することがCIOのグリーンITへの取り組みに対する大きなモチベーションになっていると説明。このような背景から、グリーンITのトレンドは「欧州におけるユーロの導入、2000年問題、SOX法への対応と同じ位のインパクトがある」(ナン氏)とした。

ナン氏写真 アクセンチュア グリーンITサービス グローバル統括パートナー ステファン・ナン氏

 グリーンITが環境に貢献できる分野を領域別に分けると、1人の従業員がどれだけCO2を削減できるかといった取り組みに当たる「ワーキングプラクティス」、サーバやストレージで削減できる「データセンター」、省電力PCやモバイルデバイスで貢献できる「オフィス環境」、地球規模のSCMで対応する「調達」、組織やコミュニティとの活動で実行できる「コーポレイトシチズンシップ」などが挙げられるとした。

 日本でのグリーンITへの取り組みについて、アクセンチュア システムインテグレーション&テクノロジー本部 インフラストラクチャコンサルティンググループ統括 パートナー 森泰成氏は、「日本では2007年秋くらいから取り組み始めた企業が多く、まだ削減義務まではいっていないが、将来的には義務化されるだろう。イメージ面でも『グリーンITに取り組んでいないことが恥ずかしい』という風潮になるかもしれない」と説明した。

グラフ アクセンチュアが試算したITによるCO2削減の貢献度。ITは約30%のCO2削減に貢献できるという

 同社の試算によると、日本が2010年までに削減しなければならないCO2の目標値は1.5億トン。その内、サーバの省電力化などによって削減できる「ITにおけるエコ」で削減できるのは約1500万トン、IT技術を使うことでCO2を削減できる「ITによるエコ」で削減できるのは約2650万トンで合計すると総量の約30%の削減に貢献できるという。

 一方で森氏は、「グリーンITに取り組んだものの、その効果を指標化するのは非常に難しい」といった問題があると指摘する。効果が分かりにくいために、投資額を図りかねている企業が多く存在するという。こういった背景から、同社ではCMMIにちなんで環境に関する指標として「GMM(Green Maturity Model)」を策定。企業のグリーンITに対する成熟度を診断する。

 ナン氏は「世界的には、素材業界や通信・IT業界がグリーンITに対して積極的取り組んでいる。日本では、やはり製造業が最も取り組みが盛んな業種だろう」とコメントした。

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