BtoBシステムはEDIからSaaSへ、日立の新サービス日立の考えるSaaS型サービスとは?

» 2008年05月19日 00時00分 公開
[吉村哲樹,@IT]

 日立製作所は5月19日、BtoB向けアプリケーション機能をSaaSとして提供する「SaaS型ビジネスアプリケーションサービス」(以下、ビジネスSaaS)を6月1日より提供開始すると発表した。

 日立では1997年から、企業間ECサービス「TWX-21」を製造業企業を中心に提供してきた。同サービスは、同社が運営するサービス基盤上でEDI、見積もり評価、サプライチェーン支援など、ネットワークを介したBtoB取引を支援する機能を提供する。同サービスを利用する企業は2008年4月1日時点で3万8600社を数え、取引規模は年間約10兆円と推定されるという。

 今回同社が提供を開始するビジネスSaaSは、このTWX-21サービス基盤に業務アプリケーション機能を新たに付加し、SaaS型サービスとしてユーザーに提供するもの。ビジネスSaaSの提供を開始する背景について、同社 情報・通信グループ 産業・流通システム事業部 エンタープライズパッケージソリューション本部 担当本部長の鎌田芳栄氏は「企業活動はグローバルレベルでの分業化が進み、海外も含めた広い範囲でバリューチェーンを構築する必要性に迫られている。多企業間で効率よく情報の共有や業務の連携を行うには、多企業間でPDCAサイクルを回す必要がある。ビジネスSaaSは、企業間で共通に利用できる業務アプリケーション機能を提供することによって業務・情報の標準化を図り、これを支援する」と説明する。

写真 日立製作所 情報・通信グループ 産業・流通システム事業部 エンタープライズパッケージソリューション本部 担当本部長 鎌田芳栄氏

 数多くある業務アプリケーション機能のうち、まずは製造業でニーズが高い「設計・製造管理・保守担当者向け図面/仕様書管理サービス」の提供を開始する。このサービスは、企業間で図面・仕様書など設計情報や開発情報に関するドキュメントを容易に授受・共有化するとともに、ドキュメント単位で業務状況を可視化する。さらに同社では、TWX-21サービスのユーザー・パートナー参加コミュニティからニーズやフィードバックを吸い上げ、サービスの改良や新サービスの開発に反映させる。サービスの開発も自社だけではなく、パートナー企業と協力して行う。同社では、こうしたユーザー・パートナーとのエコシステムが確立されていることも同サービスの強みだとしている。

 さらに鎌田氏は「BtoBビジネスを支えるサービス基盤は安心・安全に使えるものでなくてはならない。その点、TWX-21は堅牢なIT基盤でそうした要件を満たしている」と、TWX-21のBtoBサービス基盤としての実績を強調した。

 同社では今後、「受発注管理業務システム」「倉庫管理業務システム」といったビジネスSaaSのアプリケーション機能を順次追加し、メニュー化していく予定。2010年までにTWX-21のユーザー数を現在の2倍に増やし、300億円の売り上げを目標にするという。

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