動作音は業界最低の45dB

日立、“静かで安心”なオフィス用ブレードサーバ

2008/05/28

 日立製作所は5月28日、中堅・中小企業をターゲットとしたブレードサーバの新モデル「BladeSymphony SP」を発表した。スタンドアロンPCサーバを集約し、可用性を高めたいユーザー企業や部門を顧客として想定している。オフィス内に置ける静音性と構成や導入の容易性を実現することで、より規模の小さいユーザーに受け入れられやすくしている。

 「他社では『オールインワン・シャーシ』といっているが、この製品では『オールインワン・ラック』を提供する」と日立 エンタープライズサーバ事業部 第二サーバ本部 本部長 河村俊明氏は話す。最大7ブレードを搭載できるBladeSymphony SPは、UPSこそオプションだが、イーサネットスイッチやストレージを含めてパッケージ化されている。通常ブレードサーバではシステム構成に幅広い選択肢があり、ユーザー企業にとって選択が面倒であるほか、販売店にとっても見積りや構成決定、発注に手間が掛かるなどの問題がある。新製品ではあえて選択肢を減らし、この問題を解決している。

bladesymphony01.jpg ドア内側のウレタンパッドは山型に切られており、風は通すが音漏れを減らすようになっている。すべてのモジュールは構成済みで出荷する

 例えばCPUブレードの選択肢は2つ(デュアルコアXeon E5205とクアッドコアXeon E5405)に絞り、各ブレードの搭載メインメモリ量は4GBに固定した。供給電圧は100Vのみで、200Vは提供しない。新製品では各シャーシがディスクドライブを持つのではなく、RAID 6構成のiSCSIストレージを共有で使うように決め打ちされている(容量は855 GB、1.7TB、3.4TBから選べる)。

 「単に複数のサーバを集約するだけではない機能」(河村氏)を各所に埋め込んでいる。iSCSIストレージを用い、各ブレードがこれを共有する構成により、日立のブレードサーバの特徴的な機能である「N+1コールドスタンバイ」(この機能は9月に提供開始予定)を利用できる。N+1コールドスタンバイは、あるブレードに障害が発生すると、予備ブレードが自動的にストレージのデータを引き継いで処理を再開できるという機能。同社の上位ブレードサーバではファイバチャネルのストレージを使って実現しているが、新製品ではiSCSIを使うことで安価に実現する。RAID 6の標準採用も信頼性向上に寄与する。また、マネージメントモジュール、電源装置、イーサネットスイッチ、ストレージ・コントローラ、そしてストレージとのパスを標準で二重化している。

 オフィス内での利用で問題となるサーバの動作音については、「おそらくブレードサーバで最低の45dB」を達成したという。動作中のブレード数に応じた電源の調節や回転数自動調節機能付き空冷ファンの導入に加え、シャーシの前後に静音ドアを取り付けたことで実現した。この静音ドアでは内側にウレタンフォームを張り、通風路を山型に構成することにより、空気の流れを止めることなく、音だけを緩和するようになっている。

 日立は新製品を、間接販売パートナーを広げるためのきっかけとしても生かしたいとしている。

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(@IT 三木泉)

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