日本オラクル 遠藤新社長が語る「オラクル進化論 第2巻」大局観を持って布石を打つ

» 2008年06月02日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 日本オラクルの社長執行役員 最高経営責任者(CEO)に6月1日付で就任した遠藤隆雄氏は6月2日会見し、SOAプラットフォームとビジネスアプリケーションの両事業に注力する方針を説明した。遠藤氏は「この日をわくわくしながら待っていた。オラクル進化論の第2巻が始まる」と抱負を述べた。

 遠藤氏は、過去の成功体験から業務プロセスの再デザインができない、社内外のしがらみからシステムを更新できない、人の意識が変わらないなどの問題に顧客企業が悩み、新しい経営環境に移行できていないと指摘した。その上で、「オラクルはSOAプラットフォームで解決策を提供できる」と話した。また、ビジネスアプリケーションについては「日本ではSAPの後塵を拝しているものの、世界では高い評価がある」として、日本企業に対して「グローバルで標準の業務プロセスを提供し、顧客のイノベーションを実現する」と述べた。SOA、ビジネスアプリケーションの両方の提供を「同時にできるのはオラクルだけ」だとして、総合力を顧客企業にアピールする考えだ。

日本オラクルの社長執行役員 最高経営責任者 遠藤隆雄氏

 SOA、ビジネスアプリケーションとも製品単体の販売では顧客の信頼を得られないとしてソリューション提案に力を入れる。特にコンサルティングやサポートなどオラクル社内、パートナーのリソースを生かすことが課題と遠藤氏は述べた。「ITの会社は1社ですべてを提供するのは無理。それはある意味、傲慢だ」として「クロスファンクションのチームワークを強化したい」と述べた。ただ、具体的な強化策は示さず、ビジネスアプリケーションの拡大では「顧客と感動を共有できるようになれば、結果は付いてくる」と話すだけだった。

 6月1日付で代表取締役会長に就任した前社長の新宅正明氏は「18年間の日本オラクルのこれまでは、先週でいったん終わる気持ちで新しい巻を開いてほしい」と遠藤氏への期待を述べた。3年前から新社長候補の選定を進めていたといい、「1つ1つ積み上げていくことの限界を感じていた。次の世代のオラクルのグランドデザインが必要と思っていた」と話した。そのうえで遠藤氏について「グランドデザインができる人は全体を鳥瞰できる能力と経験が必要。着実に実績をこなして、見識を深め、リーダーシップを発揮してきた遠藤氏が最適と確信を持って選んだ」と述べた。

 遠藤氏の趣味は囲碁。「仕事をする上でも大局観を持っていきたい。細かいところにとらわれずに一歩下がってIT業界全体を見渡して、次の一手を打っていくことが必要」

遠藤氏(右)と前社長の新宅正明氏。共に日本IBM出身で、同じ1954年生まれ

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