SharePointにすり寄るソーシャルソフトウェアベンダマイクロソフトとの“永久提携”も

» 2008年06月12日 00時00分 公開
[@IT情報マネジメント編集部,@IT]

 ボストンで6月9日に開幕した「Enterprise 2.0」ショウでは、3社のエンタープライズソーシャルソフトウェアプロバイダーが、マイクロソフトのSharePointプラットフォーム内での有利なポジションを求めて競っている。このうちの1社ないし2社は、巨大ソフトウェアメーカーに10億ドルの売り上げをもたらしているコラボレーションスイートの中で永住の地を確保できる可能性がある。

 Awarenessの「Summer 2008」プラットフォームは、Microsoft Office SharePoint Server 2007およびMicrosoft Windows SharePoint Services 3.0と連携する。

 WorkLightも、Facebook、パーソナライズされたホームページガジェット、デスクトップウィジェット、RSS、スマートフォンなどを利用してOffice SharePoint Server 2007の情報にアクセスしたり、情報を更新したりすることを可能にするソフトウェアを発表した。

 一方、NewsGator Technologiesの「Social Sites 2.0」では、Office SharePoint Server 2007から直接、Social Sitesのプロファイル機能やそのほかのソーシャル機能にアクセスすることができる。

 Awarenessのデビッド・カーターCTO(最高技術責任者)によると、Awareness Summer 2008プラットフォームには、Awarenessコミュニティを任意のWebサイトやサードパーティーのサービス(iGoogleやFacebookなど)に拡張する可搬型ウィジェットが含まれるという。

 これによりユーザーは、カスタマイズ可能なドラッグ&ドロップ型インタフェイスを通じて、ピープルリスト、ステータス、プロファイルプライバシー、プレゼンス、近所、グループ、アクティビティフィードなどにアクセスすることが可能になる。

 顧客やパートナーと連携しているSharePointのユーザー向けに、Awarenessは自社のウィジェットを「Web Parts」としてパッケージした。これにより、Awarenessが企業向けにコミュニティを作成したときに、SharePointの管理者は自社のサイト用にカスタマイズ可能なWebパーツのセットを入手できる。

 これらのウィジェットを利用すれば、コミュニティコンテンツの監視と提供、ユーザーの詳細データとステータスの表示、コンテンツの検索、コミュニティの参加の監視といった機能をSharePoint製品/技術から直接実行することができる。

 マイクロソフトとAwarenessの連携機能はそのほかにも、SharePoint内でのAwarenessダッシュボードの表示、 マイクロソフトシングルサインオンとの連携、SharePointとAwarenessのコンテンツの統合検索、新規/既存のAwarenessコミュニティソーシャルネットワーキング機能の利用などがある。

 WorkLightとSharePointの連携もAwarenessのそれに近い。同社では、ユーザーがFacebook内のWebベースのウィジェットを通じて、あるいはWindows Live、Vistaのサイドバー、iGoogle、Netvibesを通じて、SharePoint Server 2007の情報(ドキュメントの更新やコンタクト情報)にアクセスできるようにしている。

 またWorkLightのユーザーは、iPhoneやBlackBerryなどのスマートフォンを通じてSharePoint Server 2007の通知を受け取るように設定できるほか、社内の同僚の検索では、WorkLightの「WorkBook」アプリを通じてSharePoint Server 2007とFacebookの両方にまたがる検索が行える。

 AwarenessとSharePointの連携と同様、ユーザーはSharePoint Server 2007のWeb Partsとして動作するウィジェットからエンタープライズアプリのデータにアクセスすることもできる。これにより従業員は、時間報告、業務確認、購入承認といった機能をSharePointから直接実行することが可能になる。

 AwarenessとWorkLightが自社製品とSharePointとの間でソーシャルネットワークとウィジェットによる連携を構築している背景には、2つの要因が存在する。1つはSharePointの圧倒的な成功である。同プラットフォームとの連携は、小規模ベンダにとって認知度の向上、ひいては市場での影響力の増大につながるのだ。

 もう1つの要因は、マイクロソフトとの連携に最も優れたプロバイダーは、マイクロソフトのターゲットという願ってもないポジションを確保できる可能性があることだ。マイクロソフトは自社のプラットフォームにソーシャルツールをきちんと組み込んでいないと以前から批判されてきたが、ソーシャルツールベンダとの連携のおかげで同社にはその必要がなくなった。

“永久提携”もあり得る

 マイクロソフトは最終的に、これらのベンダの1社ないし2社と永久提携を結ぶという判断を下す可能性もある。永久提携とは、ベンダを買収して全面的にSharePointに吸収することである。

 eWEEKの予想では、本命はAwarenessだ。同社のカーター氏はマイクロソフトに11年間在籍し、Site Serverの開発に携わった。Site ServerのカーネルはSharePoint Serverへと進化した。

 Forrester Researchのアナリスト、ジェレマイア・オーヤング氏によると、企業の間でブランド付きソーシャルネットワーク(ホワイトレーベル)に対するニーズが高まっており、ほとんどのブランドが、企業のWebサイトを管理する従来のコンテンツ管理ベンダやポータルベンダではなく専業ベンダに依存するようになったという。

 「以前のWebサイクルを見れば、従来型Web管理ベンダの1社であるマイクロソフトは、こういった新しいツールセットを顧客に提供する必要がある。予想するのはまだ早いが、AwarenessとTelligentはマイクロソフトの.NET技術を利用する数少ないホワイトレーベルソーシャルネットワークだ」とオーヤング氏は話す。

 しかし大手のNewsGatorも有望だ。同社は基本的にコンシューマー向けソーシャルメディアプロバイダーとして知られるが、Office SharePoint Server 2007用のソーシャルコンピューティングソリューションであるSocial Sitesのバージョン2.0を6月9日にリリースした。

 NewsGatorの製品担当副社長、ブライアン・ケルナー氏がeWEEKに語ったところによると、Social Sites 2.0はSharePoint内で直接動作し、強力なタギング、RSSフィードの購読と管理、同僚追跡機能、コンテンツマッシュアップ機能などを提供することにより、イントラネットをソーシャルハブに変えるという。

 Social Sites 2.0には、従業員がSharePointプラットフォーム内でアイデアや情報、文書を共有できるコミュニティ機能、カスタマイズしたレコメンデーションやタグクラウド、検索を通じてグループを発見する機能、Webサイトにログインしなくてもコミュニティに参加できるディスカッションユーティリティも用意されている。

 明示的および暗示的なコネクションをベースとする従業員のソーシャルグラフでは、共通のコンテンツ、関心、イントラネット活動に基づいて各ユーザーの最も強いコネクションが示される。また、共通のコミュニティメンバーシップ、タグ、RSSサブスクリプションなどに基づいて同僚をユーザーに推薦する機能も備える。

原文へのリンク

(eWEEK Clint Boulton)

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