世界のCEOが日本をお手本にしている〜CEO1130人調査「抜本的な改革が必要」と答えたCEOは96%

» 2008年06月19日 00時00分 公開
[ITmedia]

 IBMビジネスコンサルティングサービス(IBCS)は6月19日、同社が世界の主要企業のCEOに行った調査結果「IBM Global CEO Study 2008」を発表した。IBMビジネスコンサルティングサービス 常務取締役 金巻龍一氏は、「今回の調査結果は、日本企業の自信になるような内容だった。グローバルが日本に歩み寄ってきている」とコメントした。

 調査はIBCSが2年に1度実施しているもので、40カ国1130名のCEOに対して同社のビジネスコンサルタントが対面インタビュー形式で実施。今回で4回目となる。日本では121人のCEOに話を聞いており、「CEOクラスを対象とした調査では世界最大規模のもの」(金巻氏)。

 金巻氏はここ数回の調査結果について、「ここ数年の調査でかなり変わってきている。2004年の調査ではコスト削減は終わり、成長回帰指向が見られた。2006年の調査では、経営改革や他社競合を意識している経営者が多かった。そして、今回の調査では、『経営改革は当たり前のものであり、2.5年おきに抜本的改革が必要である』とまで意識変革が起こっていた。改革をするだけでなく、改革をいかに継続させるかという意識だ。これはまさに日本が得意とする“カイゼン”活動だといえるだろう」と分析。

金巻氏写真 IBCS 常務取締役 金巻龍一氏

 実際、調査で「必要とされる変革の大きさはどのくらいか?」という質問をしたところ、「抜本的な改革が必要」と答えたCEOは83%に上った。それに対して、過去の変革実現の度合いは「実現した」が61%であり、必要と考えつつ変革を実現できていない企業が22%存在することが明らかになった。一方、この質問を日本企業だけで見ると、「抜本的な改革が必要」との答えは96%に上ったものの、「実現した」は62%で、ギャップが34%だった。この点について金巻氏は、「変革に弱腰というイメージが強い日本企業だが、調査をしてみると、世界平均よりも抜本的な改革に対しての意識が強いことが分かった。しかし、改革の結果は世界と同程度であり、ギャップは大きいようだ」とコメントした。

 また、インドや中国などの新興市場や、インターネットに強い顧客層、企業の社会的責任(CSR)への要求といった「新たな市場(顧客)の出現」に対して驚異を感じているか、という質問に対しては、70%以上の経営者が「チャンスである」と回答。新しい市場や顧客層に対して、積極的に取り組んでいこうという姿勢を見せた。

 一方で、「グローバリゼーションをさらなる事業機会ととらえるには何が重要か?」という質問に対しては、「能力やスキル構成を大きく転換する」が57%、「社外組織と積極的にコラボレーションする」が55%と上位になり、人材や他社との協業が非常に重要なポイントを占めるという考えが多かった。また、「グローバルインテグレーションの障害は何か?」の質問には、「タレント(人材)/マネジメント能力不足」が57%と高く、「法規制/規制緩和」が54%と続いた。特に日本では、人材不足が76%と非常に多く、グローバル人材不足が経営課題の大きなポイントとなっていることが分かった。この点について金巻氏は、「日本の数字は、ある程度想像できた結果だが、やや日本の経営者は慎重になり過ぎているのではないだろうか。どこの国でもどの企業でも、最初に海外進出する際には人材不足/ノウハウ不足で出るものだ。それでもやってみることで人材が育つ部分が大きい。最初から海外進出が得意な企業はいない。日本企業もまずはやってみて、育てることを考えることも必要ではないか」とコメントした。

 最後に金巻氏は、今回の調査結果について「意外にも、日本は改革好きであることが分かった結果となった。一昔前は『改革は重要』だったのが、『改革は当たり前』に変わってきている。しかし日本ではさらに一歩進んで『改革を継続させるための仕組み化』までマインドが変わってきている。その点を、海外の経営者は注目しているようだ」と総括した。

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