シマンテックがファイルシステムを迂回する対策技術を説明

ルートキットは「多くのマルウェアに使われている」

2008/06/19

 「ボットやStormワーム、トロイの木馬にバックウェアなど、ルートキットテクノロジは、思った以上にいろいろな脅威に使われている」(シマンテック セキュリティレスポンス主任研究員の林薫氏)

 シマンテックは6月19日、Windows上でファイルやレジストリ、プロセスなどを隠蔽するために改変を行う「ルートキット」について解説した。ルートキットは、PCに侵入した悪意あるソフトウェアを、ユーザーの目や対策ソフトウェアから隠すコンポーネントだ。アプリケーションからのファイル呼び出し命令を途中でフックし、あたかもシステムが正常に動いているように見せかける。この結果、侵入に気付くのが遅れ、ユーザーの被害は拡大してしまう。

 シマンテックでは定期的に、マルウェアの動向をレポートとしてまとめているが、2007年下半期のレポートでは、「ダウンローダー」として検出されたマルウェア上位10種のうち6種類がルートキットを用いていたという。

 ルートキットは「ユーザーモード」と「カーネルモード」の2種類に大きく分けることができる。ユーザーモードの方が、悪用するための技術的ハードルは低いが、その分、できることも限られていた。一方カーネルモードのルートキットは、いったん忍び込むとほぼあらゆることが可能になるが、以前は作成のための技術的ハードルが高く、悪用が困難だったという。

 しかし、「インターネットやコミュニティなどで、カーネルモードのルートキットのソースコードや情報が掲載されるようになった」(林氏)ことから、現在ではほとんどがカーネルモードのルートキットとなっている。「カーネルモードのルートキットは、OSの中のハードウェアに近いレベルで動作するため、ほとんど何の制限もない。何でも動くようになってしまう」(林氏)。

 しかもルートキットは、もともとファイルの存在を隠すためのツールなので、ウイルス対策ソフトによる検出が困難だ。「見つかりにくいから削除できないうえ、セーフモードでも動作してしまうため削除できないものもある」(林氏)。こうして検出・駆除までの期間が長期化することにより、被害が拡大する傾向にあるという。中には、ルートキットが潜んでいるPC上でウイルススキャンを実行すると、うまく動作せずスキャンがストップすることもあるという。

symantec_01.jpg Symantec Endpoint Protection 11.0によるルートキット駆除のデモ

 こうしたルートキットに対して、シマンテックでは、合併したベリタスソフトウェアの「VxMS(ベリタスマッピングサービス)」という技術を活用することで、検出を可能にしている。VxMSは、ブロック単位でデータを保存し、ファイルシステムとのマッピングを行うテクノロジだ。同社のセキュリティ製品「Symantec Endpoint Protection 11.0」ではこれを実装することで、物理ディスクに直接アクセスし、ファイルシステムより下のレイヤで動作するルートキットについても検出が可能になっているという。

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(@IT 高橋睦美)

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