1行のコードでWeb上の顧客行動を把握、SASが分析製品「SAS Customer Experience Analytics」発表

» 2008年06月23日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 SAS Institute Japanは6月23日、Webサイト上のユーザーの行動データを収集し、マーケティング活動に生かすことができる支援ソリューション「SAS Customer Experience Analytics」(CEA)を7月1日に出荷開始すると発表した。「誰がどのように」という顧客属性を把握し、今後のキャンペーン活動などに活用できるのが特徴。価格はWebサイトのセッション数に応じて設定され、月間100万セッションまでで初年度3000万円から。

 CEAはWebページに1行のJavaScriptコードを挿入することで、そのWebページを訪れたユーザーの動向を把握することができる。取得できるのはクリックした場所やカーソルの通過ポイント、開いたリストボックス、ページのアップとダウン、画面リサイズ、テキスト入力など。CEAにはこれらの情報と既存の顧客データベースを連携させるための機能があり、「Web上の行動を人単位で捕捉し、オンラインのキャンペーンの効果を測ることができる」(SASのビジネス開発本部 CIビジネス開発部 部長 高橋昌樹氏)。最短1カ月で導入できるという。

SASの執行役員 ビジネス開発本部長兼プロフェッショナルサービス本部長 宮田靖氏

 具体的にはオンラインショップの場合、Webサイトを訪れながら、なかなか購入せず、しかし最終的に常に高額な商品を購入するユーザーには、情報提供や割り引きなどを提案し、高額商品に効果的に導くことができる。対して、来店頻度は高いがWebサイトをほとんど見ず、特定のアフィリエイトサイトから訪問することが多い、などのユーザーはアフィリエイトの悪用とも考えられ、アフィリエイト施策の見直しが必要になる。このようにユーザーの行動に基づいてWebサイトの仕組みだけでなく、キャンペーンや今後の販売施策まで検討できるのがCEAの特徴だ。

 SASの執行役員 ビジネス開発本部長兼プロフェッショナルサービス本部長 宮田靖氏は、「不特定の顧客が対象となるWebサイトでもCEAを使って顧客の行動を分析し、Webサイトの方向性を考えることができる」と説明。SASがすでに提供しているマーケティング支援のスイート製品「SAS Customer Intelligence」と組み合わせることで、「顧客層の拡大を図ることができる」(宮田氏)という。

 SASは海外同様に得意とする金融機関向けに売り込みを始める。同時にオンラインの通信販売事業者も重要なターゲットと捉えていて、提案を本格化させる考えだ。

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