MS、楽天にも導入実績、「国内でも本格展開する」

インタラクティブ・インテリジェンス、IPコンタクトセンター製品 CIC 3.0を販売

2008/06/25

 IPコンタクトセンター・ソリューションを提供するインタラクティブ・インテリジェンス・インク 日本支社は6月25日、オールインワンIPコミュニケーション ソフトウェア・スイート「カスタマー・インタラクション・センター(以下、CIC)3.0 日本語版」を販売開始した、と発表した。

 CICは、VoIPの標準プロトコルであるSIPに準拠したIP-PBX(構内電話交換機)機能や、ユニファイドメッセージング機能など、コンタクトセンターで必要な機能を網羅したIPコミュニケーション・ソフトウェアの製品群。必要なものだけ選べるモジュラー方式で提供しており、一般企業向けのビジネスコミュニケーションツールとしても使用できる。

 グローバルでは80カ国3000社以上、日本国内でもマイクロソフトや楽天フィナンシャルソリューションなど50社がCICを導入しており、最新版のCIC 3.0も、すでに数社から引き合いがあるという。

 米インタラクティブ・インテリジェンスのプロダクトマネジメント担当ディレクター レイチェル・ウェンティンク(Rachel Wentink)氏は、「今回はユーザー企業のニーズが特に高かったものに着目してバージョンアップを施した」と解説。VoIP環境で確実にデータを保護する「セキュリティの強化」、CRMやERP、各社固有の既存システムとの連携に配慮した「広範囲な統合」、VoIP環境保守の手間、コストを削減する「簡素化された設定」、顧客がモバイルでスムーズにコンタクトセンターにアクセスできるよう配慮した「モビリティの強化」という、バージョンアップの4つのポイントを紹介した。

写真 米インタラクティブ・インテリジェンスのプロダクトマネジメント担当ディレクター レイチェル・ウェンティンク(Rachel Wentink)氏

 セキュリティ面では、データを暗号化して送信するTLSと、音声パケットを暗号化するSRTPをサポート。端末、地域、回線ごとにセキュリティを設定できる柔軟性を確保した。また、通話内容などを録音・記録するソフトウェア「インタラクション・レコーダー」において、パスワード作成条件の厳格化、公開鍵証明などを使用した録音ファイルの暗号化などを施し、セキュリティを向上させた。

 一方、連携機能としては、マイクロソフトのユニファイドコミュニケーション・プラットフォーム「Microsoft Office Communication Server 2007」(以下OCS)との連携機能を確保し、CICとOCSのユーザー間で電話、IMなどを利用可能とした。マイクロソフト公開のAPIを利用することで、SIP電話機、マイクロソフトOCSクライアントなど、クライアント・インターフェースを柔軟に選び、統合することができる。相手が在籍中か、電話中かなど、「相手側システムのステータスも相互に確認できるため、コミュニケーションの円滑化、業務効率向上に貢献する」(ウェンティンク氏)という。

 ちなみに、OCS以外では「salesforce、SAP、シーベル、オラクル製品などと統合を図れるパッケージも用意する」(同)。また今回は、マイクロソフト.NET Framework 3.0ベースのAPI、IceLib(Interaction Center Extension Library)も用意し、より広範なアプリケーションとのスムーズな連携・統合にも配慮した。

 「簡素化」のポイントとしては、GUIベースのIVRフロー作成ツール「インタラクション・アテンダント」にEメール・ルーティング機能を追加した。これにより、エージェントのスキルや、応対の優先度、Eメールの件名、メッセージ本文中の特定ワード・フレーズに基づいて、最適なエージェントにコールやEメールを割り振る戦略的なルーティングが可能になった。

 自社開発のSIPソフトフォンも搭載した。QoSをサポートし、ユーザーが一定の通話品質のもと、場所を選ばずいつでもセンターにアクセスできる利便性と、ハードフォンの管理、設定などの手間を削減した。SIPソフトフォンは自社開発のものだけではなく、アストラフォン、シスコ、日立などの一部製品にも対応可能だという。

写真 自社開発のSIPソフトフォンの画面。シンプルな画面上で簡単に操作できる

 一方、コンタクトセンター運営を継続的に改善するうえでは、稼働状況を記録、分析するレポーティングも重要な要素となる。この点を受けて、「インタラクション・レポート・アシスタント」を新たに用意。データベースの知識がなくても、ウィザードを使って選択肢に答えていくだけでカスタムレポートを作成可能としたもので、「スーパーバイザーなど現場の人間が、いつでも稼働状況を把握できるよう配慮した」。

 さらに今年10月以降には、「インタラクション・フィードバック」もリリース予定。あらかじめ同意の得られた顧客に対し、電話やEメールでの対応の直後、エージェントの対応についてIVRやWebなどでアンケート調査を取るというもので、「1つ1つの顧客対応を逐一、次の改善に活かせる」という。

 このほか、サーバ、SIPプロキシ、ゲートウェイなど、あらゆるセンターインフラを単一の画面で管理し、緊急時にはアラート発信もできる「インタラクションモニター」もリリース予定。コンタクトセンターの対応品質改善、運営管理の効率向上に、あらゆる角度から貢献する、さまざまなソフトウェアを網羅している点が同社の大きな特徴といえよう。

 価格は、基本的にワークステーションごと、あるいはユーザーごとのライセンス提供となり、最低で数百万円から。インタラクティブ・インテリジェンスでは、「1つのCICサーバで、最大1万5000ユーザーまで設定可能。コンタクトセンターの場合、1つのCICサーバに1000エージェントを同時接続できる。代理店販売が中心となるが、今後は日本国内でも積極的に製品展開に注力していきたい」とコメントしている。

(@IT 内野宏信)

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