日本の小売りに「分析力」のススメ、SASPOSデータだけではもう勝てない

» 2008年07月17日 00時00分 公開
[垣内郁栄,@IT]

 「日本の小売りはPOSデータに頼りすぎている。POS以外のデータリソースを活用して、意思決定に役立つ分析と予測をする必要がある」。米SAS Instituteのグローバル・リテール・プラクティス ディレクターのダン・デハート(Dan DeHart)氏は、コンビニエンスストアに代表される日本の小売りをこう分析する。「店舗数だけが増えていく状況では、いずれコアコンピタンスを見失うことになる」という。

 日本の小売りの能力の高さはデハート氏も認めている。現場の販売員が経験と知識を生かして日々の改善を行い、要求レベルが高い消費者に応えている。しかし、小売りや流通はグローバルレベルで再編が起きていて、日本の小売りもグローバルを意識しないと勝ち残れない世の中になってきた。その中では現場判断の優劣は決定的な競争優位にならない。グローバルで利益を上げていくためには、「人の能力だけに頼らず、インテリジェンスを伴った戦略が必要になる」とデハート氏は語る。

米SAS Instituteのグローバル・リテール・プラクティス ディレクターのダン・デハート氏

 SASはビジネス・インテリジェンス(BI)をベースにした“分析力”を小売りの現場に適用することを訴えている。POSデータだけでなく、市場データや商品データ、価格帯の分析、顧客の属性分析などさまざまな要素を分析し、次の戦略につなげることを提案。品揃え計画から、商品の値下げの方針決定など「小売りのライフサイクルを支援する」(デハート氏)ソリューションを提供してきた。

 国内でもある程度の規模の小売り・流通企業なら販売データを取得し蓄積している。しかし、活用ができているかというと別問題だ。デハート氏は「SASは企業がいま持っているデータに価値を与えることができる」とアピールする。

 金融や通信では普及しているSASのBIだが、小売り・流通向けはこれから。顧客ビジネスの現状や今後の戦略に合わせたシステム設計が重要になるだけに「ポイントは事前のコンサルティング」(デハート氏)ということになる。SAS日本法人は従来のパートナーに加えて、小売り・流通に強いパートナーと組み、販売を拡大することを考えている。

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